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4/26 院内勉強会「肩関節のリハビリテーション」について

[2024.04.26]

こんにちは。理学療法士の高石です。今回は勉強会を行いました。

当院で対応させていただいている肩関節疾患には、主に①インピンジメント症候群②拘縮肩③腱板断裂④スポーツによる肩関節痛があります。

今回は、これらのうちの①〜③の病態と評価、リハビリテーションの実際を確認しました。

それぞれの診断では、問診、理学所見(姿勢、可動域、筋力、各評価テスト、動作の評価)を確認し、レントゲン、エコーやMRIの画像所見を参照し、決定します。その結果に応じ、治療を計画します。

①インピンジメント症候群

肩関節内外の組織が「インピンジ=ぶつかり」によって痛みを生じることをいいます。肩関節では、球状の上腕骨頭が受け皿の関節窩の中心にしっかり引き寄せられ、ブレずに動くことが重要で、このことを求心位が保たれていると表現します。理由は様々ですが、求心位が乱れるとインピンジメント(ぶつかり)を起こして発症に繋がります。野球・テニスといったオーバーヘッドスポーツ、肩を丸める姿勢の多いデスクワーク、拘縮を伴った中高年期に好発しやすいです。

リハビリテーションでは、 求心位の乱れにつながっている原因を明確にします。、関節包、筋肉に対してリラクゼーション・ストレッチ等で伸張性の改善を図ります。さらに、求心位を保つ上で重要な働きをしている腱板筋(棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋)、肩甲骨周囲筋の強化を行います。

②拘縮肩

拘縮肩(癒着性肩関節包炎)とは、靱帯や関節包、筋の炎症により肩関節の疼痛・関節可動域制限を起こすもののことです。

原因なく生じる一次性拘縮肩と、腱板断裂に続発する場合や糖尿病、甲状腺疾に合併して発生する二次性拘縮肩の2つに大別されます。

拘縮肩は、発症してからの時間の流れで病態が変化し、3つ病期分類があります。それぞれの病態に応じたリハビリテーションを実施することが大切です。

A. 炎症期:夜間痛や安静時痛が強い時期です。関節内の炎症反応が強いことが特徴で、投薬や注射にて炎症の抑制と痛みの緩和をはかります。また、関節内に負担の少ないエクササイズとして、肩甲骨や胸椎の可動性拡大を図ります。

B. 拘縮期:夜間痛や安静時痛が落ち着いてきて、動作時痛が残存している時期です。この時期は、関節内の繊維化が進み、痛みや可動域制限の残存につながる可能性があり、痛みに応じた積極的な肩甲上腕関節のストレッチ、運動を実施していきます。

C.寛解期:関節包の癒着や瘢痕化により、痛みよりも可動域の制限が強くなります。この時期も積極的な関節運動を実施していきます。

③腱板損傷・断裂

若年者では何らかの外傷をきっかけに発症する外傷性腱板断裂が多く、50歳以上の中高年では腱の退行変性を基盤に発症する変性腱板断裂が多いです。腱板断裂による求心位の乱れとそれに伴う肩甲帯も含めた筋バランスの不良をきたし、肩関節痛や挙上障害などをきたします。

リハビリテーションでは、残存腱板の機能改善と求心性の向上をはかります。その上で、肩甲帯の機能改善を図り、代償を抑制した上肢の動作の再獲得を図ります。

リハビリテーションでは、ご自宅で行なっていただくホームエクササイズは欠かせません。特に肩関節疾患は動かさないと固まりやすく、可動域がどんどん狭まってしまうことが多いです。そのため、ホームエクササイズの重要度が他の関節以上に高いです。病態、経過に応じて、テニスボールを使ったストレッチから、セラバンドを使用したインナーマッスルの強化まで、しっかり行なっていただくことをお勧めしています。

これからも皆さまの力になれるよう学び、学びに基づいた治療を頑張ります。よろしくお願いします。

理学療法士 高石

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