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6/14 院内勉強会「ランニング障害のリハビリテーション」について

[2024.06.14]

こんにちは。理学療法士の尾又です。今回は「ランニング障害のリハビリテーション」について勉強会を行いました。

ランニング障害とは、ランニング動作に関連して生じた下肢痛であり、主に繰り返す動作からの慢性障害として発症します。当院で対応することの多いランニング障害として、①肉離れ②シンスプリント③鵞足炎④腸脛靭帯炎があります。

①肉離れ

筋肉が過剰に伸ばされることや収縮することによって、筋線維または筋膜が断裂して起こります。好発部位は、下腿後面の腓腹筋、大腿後面のハムストリングス、大腿前面の大腿四頭筋などです。長距離より短距離選手で多くみられます。治療は、ハムストリングスの重症型は手術を要しますが、その他は主にリハビリテーションを中心とした保存療法です。リハビリテーションは、時期により内容を変えていきます。受傷早期の急性期では、炎症と損傷の拡大を防ぐことを目的に安静をたもちます。しかし、長期間の休息は推奨されず、可能な範囲で適切な負荷(ストレッチや筋収縮)を入れていくことが早期のスポーツ復帰につながります。再生期には、筋力や柔軟性の左右差の改善、運動時の体幹の機能向上、股関節の伸展筋の大臀筋などの強化も実施します。機能改善期には、伸張性収縮(筋肉が伸ばされながら力が入ること)や伸張位での収縮機能改善、筋腱複合体の弾性要素の機能向上を図ります。さらに、実際のスポーツ動作での動きの確認と不良動作の改善を図り、再発予防を図ります。

②シンスプリント

オーバーユースや反復ストレスによって、下腿内側部痛を呈する慢性のスポーツ障害です。ヒラメ筋・長趾屈筋・後脛骨筋による脛骨内側骨膜への牽引ストレスによる炎症が原因と考えられています。受傷要因として、筋力、筋の柔軟性、アライメント不良(距骨下関節回内)などの身体の問題や、練習量の急激な増加、シューズの摩耗、硬い路面でのトレーニングの実施などの環境の問題など、様々な要因が組み合わさって発症につながります。治療は、主に保存療法です。痛みの程度によっては運動を制限する期間を作ります。リハビリテーションでは、柔軟性の低下した筋のストレッチや筋力強化、関節可動域の改善によりバランスの改善を図ります。さらに、足の接地時に正しい姿勢が取れるようにするための運動療法などを実施します。

③鵞足炎

鵞足とは、脛骨粗面の内側に薄筋、縫工筋、半腱様筋が付着し、鳥の足に見えることから名付けられた部位です。鵞足炎は、これら3つの筋の停止部(鵞足部)に牽引力が加わる事で痛みが生じます。ランニング動作ではフットストライクからミッドサポートにかけて痛みが生じることが多く、Knee-in(膝が内側に入りX脚のような状態)Toe-out(つま先が外を向く)などの不良動作がみられると、伸張ストレスがかかり疼痛につながります。リハビリテーションでは、牽引ストレスの原因となる筋のストレッチを行い、ランニング動作時に見られる不良動作の改善のための運動療法を行います。

④腸脛靭帯炎

腸脛靭帯が膝の屈伸時に大腿骨の外側上顆を乗り越え、これを繰り返すことにより摩擦が生じて起こる慢性疾患です。ランニングの動作では、鵞足炎と反対のKnee-out(O脚のような状態)Toe-in(つま先が内を向く)やローリング(ミッドサポートかテイクオフにかけて下肢全体が内旋し、足部の外側からテイクオフし、フォロースルーで下腿が内旋する)などの不良動作では腸脛靭帯の緊張が高まり摩擦が起きやすくなってしまいます。リハビリテーションでは、摩擦を減らすために腸脛靭帯の緊張を高める原因となっている筋のストレッチを実施します。解剖学的検討から腸脛靭帯は、7つの線維から構成されるとされ、外側上顆との間で摩擦を受けやすい線維は大臀筋と大腿筋膜張筋由来の線維であると言われています。このため、大臀筋と大腿筋膜張筋に対してストレッチを行います。またランニング動作時にみられる不良動作に対しての運動療法を実施します。

ランニングに伴う痛みでお困りの方がいらっしゃいましたら、ぜひ当院にご相談下さい。

理学療法士 尾又

 

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