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7/21 院内勉強会「野球肩のコッキング期の評価とリハビリテーション(運動療法)」について

[2023.07.21]

こんにちは。理学療法士の高石です。今回の勉強会のテーマは「野球肩のコッキング期の評価法とリハビリテーション(運動療法)」です。

投球動作は、下半身と体幹によって生み出された力を効率良く 上肢に伝達する全身の機能を動員した運動連鎖です。野球肩は、その運動連鎖のどこかに不具合があり、歪みが起きた結果生じます。野球肩のリハビリテーションにおいて、効果的な運動療法を行うためには、投球動作の各フェーズで必要とされる運動機能の理解と、投球動作のなかでどの時期にどの部分に痛みが出現するのかを把握することが重要です。

今回は、野球肩で痛みがでることの多いコッキング期、特にテイクバックと最大外旋位(maximum external rota-tion:MER)の動作理解と評価・治療法に着目して勉強会をさせて頂きました。

テイクバックとは、反動をつけるために腕を後方に引く動作のことで、肩内旋・前腕回内位の状態で肩外転運動です。肩内旋および外転可動域制限や肩甲下筋の機能低下があると肩峰下で痛みのでるインピンジメント徴候の原因となりえます。また、内旋制限があると、テイクバックでの肩外転運動に伴って骨頭が前方に偏位する代償動作が生じやすい。その結果、最大外旋位がうまく取れず、リリース位置が下方にずれる不良動作(肘下がり)に繋がります。効率よく最大外旋位に移行するためには、テイクバックが重要です。

最大外旋位(MER)は、ボールを加速する直前に投球側上肢が後方に最も引かれた状態で、”しなり”とも表現されます。肩甲上腕関節外旋、肩甲骨上方回旋・後傾、胸椎伸展、胸郭開大、股関節伸展などの複合運動からなります。最大外旋位での姿勢を保持するために、僧帽筋下部や前鋸筋の機能も必要となります。

今回は、評価法としてテイクバックテスト(肩甲骨の下角の固定の有無で、テイクバックの動作を比較し、肩関節の内旋、外転制限の有無、上腕骨頭の前方偏位の有無、上腕骨頭の求心位保持機能、肩甲上腕関節のタイトネスの評価)、MERテスト(最大外旋位での痛みの確認と姿勢の確認法)を試しました。

さらに、運動療法として、テイクバック時に肩関節に負担の少ない外転運動を学習する外転エクササイズ、最大外旋位のポジションを保持するために必要な僧帽筋下部を腹臥位で鍛えるトレーニングなどを共有させて頂きました。

これからも新しい知識を取り入れ、日々勉強し、よりよい治療を提供出来るように頑張ります。 

理学療法士 高石

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