9/27 院内勉強会「上腕骨外側上顆炎のリハビリテーション」について
こんにちは。理学療法士の羽生です。
今回は、「上腕骨外側上顆炎のリハビリテーション」について勉強会を行いました。
上腕骨外側上顆炎とは、上腕骨外側上顆に付着する手関節・手指の伸筋群の腱に炎症を生じ、疼痛をきたす疾患のことです。肘関節の伸展、前腕の回内、手関節の背屈時に疼痛が生じやすいです。テニスによる発症が知られていて「テニス肘」と呼ばれることがありますが、日常生活や労働により発症することも多いです。上腕骨外側上顆には、多くの伸筋群が付着していますが、その中でも「短橈側手根伸筋」と「総指伸筋」が原因になることが多いと言われています。過負荷による付着部の炎症や、これらの筋肉の柔軟性低下や滑走不全が症状につながります。
評価では、問診でスポーツ歴や職業、趣味など日常生活でどのような動作が多いのかを推測し、痛くなる動作の聴取からどの動きが原因なのか判断します。さらに、どの筋肉が炎症を起こしているかを視診と触診、関節可動域(ROM)評価、疼痛誘発テストで原因部位を判断します。また、疼痛誘発テストには、Thomsen test、Chair test、中指伸展テストがあります。Thomsen testとは、肘関節伸展位で抵抗下に手関節背屈運動を行い、疼痛の誘発を確認する検査です。陽性の場合は、短橈側手根伸筋と総指伸筋に原因がある可能性があります。Chair testとは、肘伸展位で椅子を持ち上げる動作を行い、疼痛の誘発を確認する検査です。陽性の場合は、短橈側手根伸筋に原因がある可能性があります。中指伸展テストとは、肘伸展位で抵抗下に中指伸展運動を行い、疼痛の誘発を確認する検査です。陽性の場合は、総指伸筋に原因がある可能性があります。これにより、症状の原因になっている筋肉、動きを判断します。
リハビリテーションでは、原因となっている筋肉に対しダイレクトストレッチを行ったり、左右にずらすようにマッサージしたり、筋間を押さえて前腕の回旋運動を行うなどの方法があります。また、筋肉が短縮する原因となる肢位の改善、肘の動きの制限から伸筋群の過負荷につながる猫背の姿勢の改善も重要です。さらに、セラバンドを使った伸筋群、屈筋群の筋力トレーニングで、筋力のバランスを整えていきます。リハビリテーションでは、自宅でもできるホームエクササイズも同時に提案しています。これらを自宅でも積極的にやっていただくことが大切です。
これからも地域の皆様、スポーツ愛好家の方々に、今後も適切な評価とリハビリテーションを提供出来るように日々精進していきます。よろしくお願いいたします。
理学療法士 羽生