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12/1 院内勉強会「仙腸関節の痛みとリハビリテーション」について

[2023.12.01]

こんにちは。理学療法士の高石です。今回は「仙腸関節の痛みとリハビリテーション」について勉強会を行いました。

腰痛の中には、仙腸関節に由来するものが10〜20%あると言われています。50代以降(特に70歳代)、女性に多いと言われています。痛みの部位としては仙腸関節の上方、上後腸骨棘付近に生じることが多く、筋・筋膜障害の併発による臀部〜下肢の痛みが併発していることも多いです。

仙腸関節は、仙骨と両側の腸骨で形成される関節で、可動性は小さく2-3mm程度とされています。可動性の少ない関節ですが、体幹の重量を両下肢に伝えたり、衝撃の緩和、運動時に下肢の動きを補助する役割があるといわれています。

仙腸関節の運動には、主に2つの運動があります。

1)ニューテーションおよびカウンターニューテーション

ニューテーションとは、仙骨のうなずき運動とも呼ばれ、仙骨が腸骨に対して相対的に前傾し、腸骨が後方回旋する運動を言います。カウンターニューテーションとは、仙骨の起き上がり運動とも呼ばれ、仙骨が腸骨に対して相対的に後傾し、腸骨が前方回旋する運動を言います。体幹および股関節の屈曲時、仙骨は腸骨に対して相対的に前傾するニューテーションが生じます。体幹および股関節の伸展時は、反対にカウンターニューテーションが生じます。

2)インフレアおよびアウトフレア

インフレアは腸骨の前方が閉じて、後方が開く運動です。アウトフレアは腸骨の前方が開き、後方が閉じる運動です。運動といわれていますが動きはほとんどなく、インフレアでは関節の後方にある靭帯が緊張し、アウトフレアでは関節の前方にある靭帯が緊張すると考えられます。

これらの運動によって衝撃の緩和や運動補助などの機能的な役割を担っています。

仙腸関節痛の機序は、体幹・股関節の動きに連動する仙骨の相対的な動きに障害があったり、関節運動が上方部・下方部に偏ったり、仙骨の異常な動きが繰り返されることで仙腸関節のズレが生じたりすることによると考えられます。

仙腸関節痛は、動きの誘導に対する反応で大きく3つのタイプに分けられます。ニューテーション方向に誘導することで改善するニューテーション型、カウンターニューテーション方向に誘導することで改善するカウンターニューテーション型、腸骨を両側から圧迫することで改善する不安定型です。

評価では、前後屈の動作において誘導を加え、痛みの変化を確認することで3タイプに分類します。

リハビリテーションでは、分類に基づき、最も痛みが誘発される動作や姿勢(立位・座位・臥位等)で仙腸関節に改善する方向の誘導を加えながら、自動運動を繰り返し行っていただきます。その後、痛みの変化を確認します。痛みの改善が確認できれば、複数セット繰り返し行っていきます。さらに、セルフエクササイズとして体幹部の動きに連動して骨盤を自身で操作する方法も有用です。

仙腸関節痛は、中腰姿勢や長時間の立位、体幹部の回旋や伸展動作、重いものを持つなどの割と身近な動きで疼痛を誘発しやすいです。腰痛に悩まされている方の中には仙腸関節痛が含まれている可能性があります。ぜひ当院へ相談ください。

これからもより良いリハビリテーションを提供出来るように頑張ります。

理学療法士 高石

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