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10/27 院内勉強会「肩腱板断裂に対するリハビリテーション」について

[2023.10.27]

こんにちは。理学療法士の高橋(大基)です。今回は「肩腱板断裂に対するリハビリテーション」について勉強会を行いました。

腱板とは、肩関節のインナーマッスルである肩甲下筋、棘上筋、棘下筋、小円筋の腱がが上腕骨の付着部で重なりながら付着している部分で、腱の板のように見えることから腱板と言われています。上腕骨頭を肩甲骨関節面に引き寄せて、位置関係を保つ働き(求心位の保持)があります。腱板断裂とは、この腱板が断裂した状態で、全層にわたって断裂している全層断裂と、表層が部分的に断裂している部分断裂があります。腱板断裂の場合、腕の挙上動作での肩関節の痛みや挙上障害で来院されることが多いです。これは肩関節の求心位が乱れて、肩関節内でぶつかり合い(インピンジ)が生じていることが大きな原因です。腱板断裂の治療は、断裂が大きく、求心位が保てない場合は、手術が必要になることもありますが、多くの場合はリハビリテーションで良くなります。

リハビリテーションでは、①姿勢の修正、②肩関節可動域訓練、③残存腱板の筋力強化、④肩甲帯の固定性の強化を行います。

①姿勢の修正

猫背や頭部前方偏位、肘伸展制限などの不良姿勢は、肩関節へのストレスを増大させます。その結果、インピンジメント(肩関節内部でのぶつかり)を起こし、肩関節痛の原因になります。猫背や頭部前方偏位に対しては、タオルを使った胸椎伸展ストレッチや深呼吸による脊柱胸郭の姿勢改善を図ります。肘伸展制限に対しては、上腕二頭筋や前腕筋のマッサージによる肘関節可動域の改善を図ります。

② 肩関節可動域訓練

肩関節の可動域制限は、関節包や筋肉こわばりや癒着から起きています。求心位の改善には、この改善が必要です。筋に対しては、ダイレクトマッサージや相反神経抑制を用いたストレッチを行います。関節包に対しては、ルーズパックポジション(LPP)と呼ばれる関節が一番緩む肢位で、ストレッチを行います。

皮膚や筋膜に問題がある場合は、筋膜リリースを実施します。またホームエクササイズでは、ストレッチポールを使ったダイレクトストレッチやスリーパーストレッチの指導を行なっています。

③残存腱板と肩甲帯周囲筋の筋力強化

挙上や内外旋動作において求心位が保たれるためには、腱板筋群が強調して働くことが大切です。このため、腱板を構成する各筋の強化をした上で、同時収縮が行えることが重要になります。トレーニング方法としては、腱板筋群の軽い負荷で運動から、セラバンド(ゴムバンド)を使った負荷をかけたトレーニング、さらに同時収縮のトレーニングとしての四つ這い姿勢で床を押す運動や立位で壁を押す運動が効果的です。

④肩甲帯の固定性の強化

肩関節の運動において、土台である肩甲骨が胸郭上で安定していることは重要です。この安定には、僧帽筋や前鋸筋の機能が重要です。腱板強化と同様、体重を乗せることで筋力アップが見込め、cat &dog、プランク姿勢、プランク姿勢を保持したまま手を煽ぐパタパタ運動を行います。

今回は、肩腱板断裂のリハビリテーションを目的ごとに分けて考え、それに沿った運動療法を勉強しました。

当院リハビリテーションでは、一人ひとりの病態に合ったリハビリテーションを提供できるよう、地域住民の方々やスポーツ愛好家に寄り添うクリニックであるよう頑張ります。

理学療法士 高橋 大基

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