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10/13 院内勉強会「膝の屈曲制限に対してのリハビリテーション」について

[2023.10.13]

こんにちは理学療法士の尾又です。今回は「膝の屈曲制限に対してのリハビリテーション」について勉強会を開かせていただきました。

膝の屈曲制限がある場合、日常生活の中でしゃがみ込みや正座に支障をきたします。膝の屈曲角度は、しゃがみ込みや蹲踞では130°〜155°、正座は155°〜160°必要になります。膝の屈曲の可動域は股関節肢位の影響を受け、股関節屈曲位では約140°、股関節伸展位では大腿直筋が伸張されるため約120°となります。他動や自重負荷により160°までの屈曲が可能となります。膝の屈曲には関節の遊び、下腿内旋可動域、膝蓋骨の可動性、筋力、軟部組織の柔軟性や滑走性などさまざまな要素が必要になります。今回は、下肢前面の軟部組織の柔軟性や滑走性を中心に学びました。

①大腿四頭筋(内側・外側・中間広筋、大腿直筋)の柔軟性

大腿の前面にある筋肉で主に膝伸展の筋力となり、柔軟性が低下すると膝の屈曲の制限に繋がります。まず股関節の肢位を変えて膝関節の屈曲を確認し、その際の可動域に違いがあるか確認します。また、広筋群は屈曲の際に縦方向だけでなく斜め横方向にも伸張されるため、その移動量も確認します。リハビリテーションでは、筋を直接圧迫したり、斜め横方向に動かして伸張し、筋緊張の軽減を図ります。特に外側広筋に対しては、その屈曲動作に合わせた動きの特性から、屈曲とともに後外側方向へ誘導していき移動量を改善を図ります。

②膝蓋上嚢

膝蓋骨の後上方にある袋のような組織です。膝伸展位では折れ返って2重膜構造になり、屈曲に伴い徐々に単膜構造になります。この部分の滑走性の低下が生じると屈曲制限に繋がります。膝蓋上嚢を直接圧迫して抵抗感や滑り具合を確認します。リハビリテーションでは、大腿四頭筋の上から、大腿骨に対して押しつぶすように圧迫し、時計回りや反時計回りに回転させ膝蓋上嚢の可動性を拡大していきます。

③大腿前脂肪体

膝蓋上嚢深部と大腿骨間に存在する組織です。膝の屈伸時に膝蓋上嚢の滑走性を維持する機能、膝蓋大腿関節の内圧調整機能などを担います。この組織に癒着や変性が生じると、膝蓋上嚢の機能を低下させ膝の屈曲制限に繋がります。大腿四頭筋を大腿骨から持ち上げ、持ち上がりの程度やその左右差を確認します。リハビリテーションでは、大腿四頭筋を大腿骨から持ち上げ癒着や柔軟性を改善させます。その後、膝の屈伸動作により広筋の自動運動を反復し、脂肪体の機能や移動量を改善する。

④膝蓋下脂肪体

膝蓋靭帯の深部に存在する組織で、深屈曲では膝蓋靭帯により後方へ押し込まれ、十字靭帯と膝蓋骨の間に移動します。膝の深屈曲に伴う内圧上昇をコントロールする徐圧機構で、柔軟性が低下すると内圧コントロール不良となり痛みや屈曲制限に繋がります。直接把持し、内側・外側への移動量の大きさを確認します。リハビリテーションでは、膝蓋骨の下側を持ち上げるように動かしたり、膝蓋骨を下方向へ移動させて膝蓋靭帯を緩ませ、その状態で膝蓋下脂肪体を用手的に左右方向に動かし柔軟性を改善していきます。

今回はこれらの組織の評価と治療について確認し実践しました。正確な評価、より良いリハビリテーションを提供出来るよう、これからも日々研鑽に努めてまいります。よろしくお願いいたします。 

理学療法士 尾又

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