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8/23 院内勉強会「胸郭出口症候群のリハビリテーション」について

[2024.08.23]

こんにちは。理学療法士の羽生です。

今回は、「胸郭出口症候群のリハビリテーション」について勉強会を行いました。

胸郭出口症候群とは、首と胸の間にある胸郭出口において腕神経叢や鎖骨下動脈が牽引または圧迫されることで、上肢の感覚障害や運動障害をきたす疾患のことです。

原因となる胸郭出口部は、大きく3つに分けられています。

①斜角筋症候群:第1肋骨とそれに付着する前斜角筋、中斜角筋で形成される斜角筋部での圧迫によるもの。デスクワークなどで頸部の不良姿勢が続いたり疲労が蓄積し、前斜角筋と中斜角筋の緊張が亢進すると、腕神経叢や鎖骨下動脈の圧迫につながります。また、斜角筋は吸気時の補助筋として作用するため、深呼吸などで症状が出現することがあります。

②肋鎖症候群:鎖骨と第1肋骨間の間の肋鎖間隙での圧迫によるもの。なで肩姿勢のように鎖骨が下がった状態では、肋鎖裂隙の上面である鎖骨が低位となるため、腕神経叢と鎖骨下動・静脈の圧迫につながります。さらに、上肢の挙上に伴い鎖骨が後退することによっても狭くなります。

③過外転症候群(小胸筋症候群):烏口突起に付着する小胸筋下間隙での圧迫によるもの。肩関節を外転させると、小胸筋の下方を走行している腕神経叢と鎖骨下動・静脈は小胸筋を支点に向きを変え、上行することになります。このため、上肢挙上位で症状が出現することが多いです。

評価では、問診で原因や経過を把握し、視診で姿勢要素を確認します。触診で筋の緊張を確認すること、握力で程度や左右差を評価することも重要です。また、どの間隙が原因かを判断するのに有用な各種疼痛誘発テスト(Adoson・Morlyテスト→斜角筋症候群、Edenテスト→肋鎖症候群、Wright・Roosテスト→小胸筋症候群)があります。これらにより原因部位を判断し、治療につなげます。

リハビリテーションでは、神経や動脈の圧迫の原因となっている筋肉の柔軟性を改善し、不良姿勢を改善することを目的に、①各筋肉のストレッチ、②僧帽筋の筋力トレーニングを行います。また、僧帽筋の筋力を付けるだけではなく姿勢を日常生活から保てるよう③筋持久力向上のためのエクササイズを行います。

さらに、来院時のリハビリテーションに加えて、ご自宅で行なっていただくホームエクササイズは欠かせません。姿勢改善のための頚部のストレッチ、姿勢保持に必要な筋力トレーニング、持久力訓練など、病態にあったホームエクササイズを提案させていただいています。自宅で、1日3回各20分程度時間を作って続けることをお勧めしています。

これからも皆さまの力になれるよう学び、学びに基づいたリハビリテーション治療を提供させていただきます。よろしくお願いします。

理学療法士 羽生

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