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2/16 院内勉強会「ランニングに伴う腸脛靭帯炎のリハビリテーション」について

[2024.02.16]

こんにちは。理学療法士の尾又です。今回は「ランニングに伴う腸脛靭帯炎のリハビリテーション」について勉強会を行いました。

腸脛靭帯は、股関節近くの大腿筋膜張筋・大殿筋・中殿筋から繋がり、大腿外側を走行し、膝の外側で大腿骨遠位外側の骨性隆起(大腿骨外上顆)を乗り越え、脛骨近位のGerdy結節・膝蓋骨に付着します。大腿部後方は、外側大腿筋間中隔となり、外側広筋と大腿二頭筋を区分します。7つの線維からなり、浅・中・深層の3層構造で構成されます。腸脛靭帯が膝腸脛靭帯の遠位には、脂肪体が存在し、大腿骨外上顆との間の緩衝作用を果たしていますます。

腸脛靭帯炎は、ランニング動作に関連して起きることが多く、主に中・長距離のランニング競技で多く発症します。このため、ランナー膝とも呼ばれています。その発症メカニズムは、繰り返す膝の屈伸動作の際に腸脛靭帯が大腿骨遠位外側の骨性隆起(大腿骨外上顆)を乗り越え、摩擦を繰り返すことによります。

ランニング動作において、腸脛靭帯炎を起こしやすい不良動作は以下の3点が挙げられます。

① Knee-out toe-in(膝が外を向いてつま先が内を向く状態)

Foot-strike(足底が路面に接地する瞬間)〜Mid-support(足部接地後に体重支持し、踵が路面から離れるまで)にかけて膝は屈曲・内旋しますが、Knee-out toe-inの姿勢では内旋が強くなり、その制動のため腸脛靭帯の緊張が高くなり発症につながります。

② Rolling(下腿の内旋・外旋の繰り返し動作)

Mid-support〜takeoff(踵が地面から離れて足趾が地面を離れるまで)にかけて下肢全体が内旋し、3〜5趾辺りの外側からtakeoffしてfollow-throgh(足底が地面を離れて下肢の後方への運動が止まるまで)では下腿が外旋する。下腿の内旋と外旋を繰り返すことをRollingと表現しますが、この動作が過剰になると腸脛靭帯に対して牽引ストレスがかかり、発症につながります。

③股関節伸展相での内転・内旋

takeoff〜follow-throghの股関節伸展相で、股関節内転・内旋が強くなることにより腸脛靭帯は伸張されます。さらに、これらの動作で腸脛靭帯と大腿骨外側上顆の間で摩擦ストレスが生じやすくなり、痛みの発生につながります。

腸脛靭帯炎の評価方法

①Ober test:痛みのある側を上にした側臥位で他動的に股関節の内転を行い腸脛靭帯の伸張性を評価する方法です。前述したように腸脛靭帯は、大腿筋膜張筋・大殿筋・中殿筋と連結しているため、股関節の可動域評価や、筋肉・軟部組織の触診などにより原因部位を細かく探ります。

②Grasping test :ランニング時の疼痛を再現するためのテストです。外側上顆を手で把持したまま膝の屈伸を行い、痛みが誘発されるかを確認します。また大殿筋や大腿筋膜張筋を伸張する肢位と組み合わせて行うことで、どの筋の緊張が腸脛靭帯炎の発生に繋がっているのかを確認します。

③動作解析:疼痛の原因となっている不良動作を見つけるためにランニング動作や立位アライメントの評価を行います。

腸脛靭帯炎のリハビリテーション

評価によって判断した発症の原因となっている筋(主に大殿筋と大腿筋膜張筋)を中心にストレッチを行い、腸脛靭帯の緊張を改善します。また腸脛靭帯と、隣接する外側広筋や大腿二頭筋などの間の滑走性を徒手療法により改善を図ります。さらに緩衝作用を持つ腸脛靭帯深層の脂肪体に対し徒手療法でその柔軟性の改善を図ります。

不良動作の改善に関しては、ランニングフォームの改善とそれに合わせたエクササイズ(ストレッチ、筋力強化、動作練習)を行います。

膝の外側の痛みでお困りの方いらっしゃいましたら、ぜひ当院に相談ください。適切な評価とリハビリテーションで、症状の早期改善、再発予防に努めてまいります。

よろしくお願い致します。

理学療法士 尾又

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