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1/30 院内勉強会「胸郭出口症候群の絞扼部位別のリハビリテーション」について

[2024.01.31]

こんにちは。藤沢ぶん整形外科リハビリスタッフの織田です。

今回は、「胸郭出口症候群の絞扼部位別のリハビリテーション」について勉強会を行いました。胸郭出□症候群は、種々の原因により腕神経叢や鎖骨下動静脈が圧迫され、肩甲部や上肢に多彩な神経症状や血管圧迫症状をもたらす症候群であると定義されています。症状は、主に上肢の痛みやしびれなどが挙げられますが、重い感じや動かしずらさの場合もあります。胸郭出口症候群は、95%が腕神経叢由来で残りが血管性由来であるとされています。

診断は、問診、理学所見、誘発テストを行い判断します。治療では、主に保存療法(服薬、リハビリテーション、装具)が中心になります。保存療法で改善がみられない重症例の場合は、手術を行うこともあります。

胸郭出口症候群において神経が絞扼されやすい領域は、3つのポイント(①斜角筋隙、②肋鎖間隙、③小胸筋下隙)があり、それぞれの部位で腕神経叢の絞扼のメカニズムが異なります。リハビリテーションでは、それぞれのメカニズムに合った介入方法を選ぶ必要があります。今回は、絞扼部位によるメカニズムの違いと、リハビリテーションの方法を学びました。

①斜角筋隙とは、頚髄から分枝した頚神経が腕神経叢になり末梢に向かう経路の中で、最初に通る絞扼好発部位です。頸部側面で前壁が前斜角筋、後壁が中角筋、底面が第1肋骨で構成される場所です。前斜角筋と中斜角筋の緊張が亢進すると、腕神経叢の絞扼が起こります。デスクワークなどで前屈みになることが多い場合や、頸部の筋疲労がある場合になりやすいです。いかり肩の方も頸部の筋緊張が高い場合が多く、なりやすいです。また、歯ぎしりのある方や入眠障害の方にも多く発症し、顎関節〜頸部にかけての筋緊張が高い影響と考えられます。この場合のリハビリテーションでは、斜角筋の筋緊張のほかに、咬筋や内側翼突筋といった顔面周囲の筋緊張を確認します。その上で、横向きの状態で斜角筋と顔面周囲筋の柔軟性を改善させます。

②肋鎖間隙とは、第1肋骨と鎖骨の間を腕神経叢が通る部位です。この部位での腕神経叢の絞扼は、なで肩姿勢の方に多くみられます。なで肩姿勢の場合、鎖骨が“ハの字”向きになりやすく、それにより鎖骨と第1肋骨の間の肋鎖間隙が狭窄し、腕神経叢や、鎖骨下動静脈が絞扼されやすくなります。この場合のリハビリテーションでは、背臥位で鎖骨を動かすモビライゼ―ションを行います。理学療法士が患側の鎖骨を把持しながら肩〜上肢を回旋させて動かしていきます。

③小胸筋下隙とは、腕神経叢が小胸筋という胸部前面にある筋肉の下を通る部位のことです。前面を小胸筋、後内側面を前鋸筋と第2~4肋骨、後外側面を肩甲下筋で囲まれています。この部位での腕神経叢の絞扼も、②と同様になで肩の方や、猫背の方に多いです。この場合のリハビリテーションでは、小胸筋のストレッチのために背臥位で小胸筋のダイレクトマッサージを行ったり、上肢挙上位で前面と腋窩から小胸筋を把持しながら腕を回旋させ、小胸筋をマッサージする方法があります。

どの場合でも絞扼に関わる筋の緊張を落とした後に、良姿勢をとるのに必要な僧帽筋下部線維を筋力トレーニングを行うことが望ましいです。僧帽筋の筋力トレーニングとしては、うつ伏せでバンザイの姿勢で腕を挙上する方法がありますが、この際に筋収縮が入りやすくなるコツについても学びました。

このように、胸郭出口症候群のリハビリテーションでは、その方症状が、どの部位の絞扼で生じているかを正しく判断し、病態にあったリハビリテーションを行うことが重要です。

上肢のしびれや痛みなどでお困りの際は、ぜひ当院にお越しください。

理学療法士 織田

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