1/13 院内勉強会「股関節の可動域改善のためのリハビリテーション」について
みなさんあけましておめでとうございます。藤沢ぶん整形外科リハビリスタッフの織田です。今回は、新年最初の勉強会です。
今回のテーマは、「股関節の可動域改善のためのリハビリテーション」についてです。
日々の診療で対応させていただいている方の中に、「椅子に座って足を組む動作」がやりにくいとおっしゃる方がいました。その訴えに対し、なぜそれができないのか、どうすれば良くなるのかを考えました。
私たち理学療法士が、股関節の可動域を改善する上で重要なことが3つあります。
1.endfeel
endfeelとは、我々が関節を動かした時に最終域で感じられる抵抗感のことです。動かした際の制限の出る角度や痛みの出るタイミング、制限が出た時の感触によって、可動域制限の原因組織の同定、病期の推定が可能です。これにより病態にあった適切なリハビリテーションが可能になります。
2.固定性
股関節は、骨盤と大腿骨で構成されます。股関節が十分な筋出力を発揮するには、骨盤に付いている体幹筋によって股関節近位部が固定されることが必要です。このため、体幹筋の働きと固定性を確認することが重要です。
3. 防御性収縮
関節を動かそうとしたときに痛みがあると、無意識に筋肉が収縮し関節は動かなくなります。これを防御性収縮と言います。さらに、痛みが続いていて動かせないでいると、筋肉の血流が悪くなったり、筋肉が硬くなったりします。この状態で無理に動かしたり、筋肉を圧迫すると良くなるどころか痛みが強くなることがあります。まず、痛くない範囲で自分で関節を動かしていただき、筋肉の緊張を取り除いていく必要があります。
今回対応させていただいた方の評価の結果、「椅子に座って足を組む動作」がやりにくい原因は、
1、筋肉(特に縫工筋)が緊張を起こしている
2、股関節の後方組織が硬いため、股関節の関節運動にブレ(求心位の乱れ)が出てしまっている。
この2点と考えられました。
これらの改善策としては、
1、縫工筋の緊張改善として、痛くない範囲での自動運動で炎症の改善、血流改善を図り、緊張改善を図ります。さらに関節包が緩むloose-packed positionでのマッサージ
2.仰向けで股関節を曲げながら大腿骨を後方へ押し込んで関節包を緩める方法、四つ這いでお尻を横に動かして股関節後方の筋肉のストレッチ法
があります。今回、これらをお互いに試しました。
「椅子に座って足を組む動作」がやりにくい原因は、個々の場合で様々です。丁寧な評価に基づく適切なリハビリテーションで、スムーズな改善を目指します。もし、股関節の痛み、動きの制限、また足が組みにくい、などの症状でお困りの方がいらっしゃいましたら、ぜひ当院へお越しください。
理学療法士 織田