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院内勉強会「肘関節後外側インピンジメントに対する、肘筋に着目したリハビリテーション」について

[2024.03.01]

こんにちは。理学療法士の高橋(大基)です。今回は「肘関節後外側インピンジメントに対する、肘筋に着目したリハビリテーション」について勉強会を行いました。

インピンジメントとは、「衝突」を意味する言葉です。人体では、関節周囲で骨や筋肉・靭帯などがぶつかることで動きの制限や炎症による痛みを引き起こすことを示します。主に肩関節で使われることが多いですが、肘関節でもぶつかりが生じる場合、インピンジメントと表現します。肘関節後外側部痛の原因の一つとして、肘筋の機能不全により生じる後外側インピンジメントがあります。今回は、この病態の場合のリハビリテーションを中心に学びました。

肘筋は、上腕骨後縁から上腕骨外側上顆、後外側関節包に走行する単関節筋です。その作用は、回内に伴い生じた尺骨外転に対して、肘頭を求心位に保ち、左右関節包の緊張を均等に保つ働きです。肘関節は、前腕回内、肘伸展位の際に後外側関節包が最も弛緩した状態となります。この時に、肘筋が尺骨外転を制動するのです。肘筋の機能不全が生じると、前腕回内を伴う肘伸展動作で肘関節後外側にインピンジが起き、肘後外側の疼痛が起きます。

診断として、肘筋の圧痛確認、第2中手骨を軸とした前腕回転軸テストでの疼痛有無を判断します。

また、上腕骨外側上顆炎や通常の後方インピンジメント(肘関節伸展時に肘頭が肘頭窩へうまくはまり込まない場合や関節部に組織が挟まる場合のインピンジメント)との鑑別が必要がです。外側上顆炎との違いは、圧痛部位(外側上顆、手関節伸筋群に陰性)の違いと、外側上顆炎に対する終痛誘発テストが陰性であることです。また後方インピンジメントとの違いは、前腕回内位での肘伸展テストが陽性であり、回外位では陰性であることです。

肘関節後外側インピンジメントに対するリハビリテーションは、肘関節後方のタイトネスの改善とアライメントの修正です。

具体的には、

①肘筋と手指伸展、手関節背屈筋の滑走改善:伏臥位の状態で、筋間に指を入れた状態で手関節の掌背屈や前腕の回内外を行います。

②肘頭・肘頭窩のスペースの拡大:伏臥位の状態で肘頭窩から肘頭を遠位に牽引して関節間の遊びを作り、肘関節屈曲を繰り返します。

③テーピング:肘筋の走行に合わせてテーピングを巻くことでアライメントが修正され疼痛が緩和されます。その上で肘関節の屈伸動作と前腕回内外動作をすると、痛みが軽減した状態での運動学習を行う事ができます。

当院では、肘関節骨折後の関節拘縮、野球肘など、様々な肘疾患のリハビリを行っています。

これからも皆さまの力になれるよう学び、お役に立てるリハビリテーションを提供できるよう頑張ります。よろしくお願いします。

理学療法士 髙橋大基

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