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2/9 院内勉強会「変形性足関節症の足背部痛に対するリハビリテーション」について

[2024.02.09]

こんにちは。理学療法士の高石です。今回は「変形性足関節症の足背部痛に対するリハビリテーション」について勉強会をさせて頂きました。

 変形性足関節症とは、足関節の関節軟骨に変性を生じた状態のことです。明らかな原因が特定できない一次性変形性足関節症と、外傷や他の疾患による二次性変形性足関節症に分かれます。症状は、主に荷重時に増強する足関節痛があり、足関節の腫脹を伴う場合もあります。進行期では、歩行時や動作時の礫音や、可動域制限が出現します。今回は、荷重時や背屈時の足背部痛の要因と、それに対する運動療法を学びました。

 荷重時や背屈時に足背部痛が生じる原因は、距骨の遠位脛腓関節(脛骨と腓骨の間)への入り込み障害により、距骨が前方へ偏位してしまうことにです。この結果、足背部にストレスが生じ、足背部痛が生じます。この距骨の前方偏位の要因として、①長母趾屈筋や後方支持組織の拘縮、②遠位脛腓関節の硬さが挙げられます。

①長母趾屈筋は、腓骨後面を起始として、距骨の後方を走行して、母趾へと至ります。後方支持組織としては、後脛距靱帯(内果後方から距骨に付着)と後距腓靱帯(外果後方から距骨に付着)が挙げられます。これらの距骨の後方にある組織が適度な柔軟性を保っていることで、背屈動作に伴う距骨の位置が適正に保たれています。これらの柔軟性が失われると、距骨の後方への入り込みが制限され、距骨の前方偏位につながります。

②足関節には、背屈時に遠位脛腓関節が離開する(広がる)事で距骨が後方に入り込みやすくなる仕組みがあります。これは、前・後脛腓靱帯、骨間靱帯の適度な柔軟性によって可能となっていますが、これらの柔軟性低下も、距骨の後方への入り込み制限につながります。

今回、リハビリテーションとして、長母趾屈筋と後方支持組織の柔軟性を改善するストレッチングと、徒手療法の距骨の押し込み操作を確認しました。

・長母趾屈筋のストレッチング:足関節を固定し、母趾に下腿長軸方向への牽引を加えつつ、母趾を伸展させていきます。

・後方支持組織のストレッチング:下腿長軸方向に牽引を加えながら、距骨の内側に位置する後脛腓靱帯には外反方向に、外側に位置する後距腓靱帯は内反方向に、ストレッチングを実施します。

・距骨の後方への押し込み操作:距腿関節に下腿長軸方向への牽引を加えたまま、距骨を後方に押し込みます。

変形性足関節症では、今回示したように距骨の前方偏位が起きやすい特徴があります。そして、偏位している状態で歩行、背屈動作を繰り返すことで、さらに変形が進む可能性があります。このため、筋肉や靱帯の柔軟性を改善したり、筋力や荷重トレーニングによって関節に加わるストレスを軽減することが大切です。足関節の背屈時痛でお困りの方、ぜひ当院に相談ください。

これからも私達は地域の皆様、スポーツ愛好家の方々に的確な診断と適切なリハビリを提供できるように日々研鑽に努めてまいります。

よろしくお願いします。

理学療法士 高石

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