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7/7 院内勉強会「肩腱板断裂術後のリハビリテーション」について

[2023.07.07]

こんにちは。理学療法士の高橋(大基)です。今回は「肩腱板断裂術後のリハビリテーション」について勉強会を行いました。

腱板断裂とは、肩関節のインナーマッスルである、”腱板”が切れてしまうことです。腱板は、棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋の総称であり、肩関節の運動時に肩甲骨と上腕骨を引き寄せて安定させる役割を担っています。腱板断裂を起こすと、肩が安定性が損なわれ、痛みや挙上障害(バンザイができなくなる)につながります。腱板断裂後の治療選択として、保存療法と手術療法の2つがあります。多くの方は注射やリハビリテーションなどの保存療法でよくなりますが、痛みや可動域の改善が認められない場合は、手術療法を選ぶ場合があります。当院では、腱板断裂の保存療法だけでなく、他院で手術を受けた方の術後リハビリテーションも対応しています。

腱板断裂術後のリハビリテーションでは、早期から痛みのない範囲で動かすことが大切です。しかし、術後の痛みや、それに伴う不動期間でこわばりが進むと、術後のリハビリテーションに時間がかかったり、可動域制限が残ってしまうことがあります。

治療経過を左右する因子を検討した文献1)では、①転倒や事故での受傷②不全断裂③術後3ヶ月で、屈曲140°・外旋30°に満たない。④術後6ヶ月で外転筋力不足(約3kg)の4つのポイントが報告されています。術後3ヶ月の時点での可動域、6ヶ月の時点での筋力が重要ということからも、早期の治療が治療経過を分けると考えられます。

私たちは、①患部の管理とケア指導 ②肩甲骨の可動域改善・維持と筋力強化 ③胸郭の柔軟性獲得 をポイントに術後早期のリハビリテーションを行っています。

①患部の管理とケア指導:縫合した筋肉が再断裂しないような指摘肢位(屈曲外転位)のポジショニングや熱感のある場合のアイシング等の指導を行います。

②肩甲骨の可動域の改善・維持と筋力強化:術後は、縫合した腱板が上腕骨に癒合するまでの期間を念頭に固定期間や運動制限があります。しかし、この固定期間中も他動運動により可動域の維持と改善は拘縮は避けなくてはなりません。そこで、患部にストレスがかからない肩甲骨の運動を中心に拘縮予防を進めます。代表的な運動では、振り子運動や肩甲骨体操が挙げられます。

③胸郭の柔軟性獲得:胸郭が固くなってしまうことで、胸郭上での肩甲骨の動きが制限されてしまいます。この場合は、普段から胸を張った姿勢を意識することが大切です。また背骨に沿って縦にタオルを入れて深呼吸をすることにより、呼吸の力で胸郭の柔軟性が改善されます。

今回の勉強会では、腱板断裂術後に対する早期介入の必要性を共有しました。

患部の管理やケア方法、姿勢や胸郭の柔軟性評価と治療などを実技を交えながら、学ぶことができました。

期待に応えるリハビリテーションを提供できるよう、頑張ります。

理学療法士 高橋大基

1)Jpn J Rehabil Med 2018;55:160-167

鏡視下腱板修復(ARCR)術後の リハビリテーション期間延長に関与する 因子の検討

二宮晴夫 ほか 地域医療機能推進機構(JCHO)大阪病院リハビリテーション科

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