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12/8 院内勉強会「大腿骨寛骨臼インピンジメントのリハビリテーション」について

[2023.12.08]

こんにちは。理学療法士の尾又です。今回は、「大腿骨寛骨臼インピンジメントのリハビリテーション」について勉強会を行いました。

大腿骨寛骨臼インピンジメント(インピンジメントとは、英語で衝突のこと)は、股関節の屈曲時に寛骨臼と大腿骨が繰り返し衝突を繰り返す事で関節唇や軟骨損傷をきたすものです。寛骨臼または大腿骨の形態異常を認めることが多く、寛骨臼蓋側の形態異常のPincer type、大腿骨側の形態異常のCam type、大腿骨と寛骨臼蓋両方に形態異常があるMixed typeがあります。また、関節可動域制限が原因であることもあり、股関節後方支持組織の柔軟性低下や骨盤後傾の可動性低下により骨頭の偏位(obligate translation)が生じ、インピンジメントが生じます。

リハビリテーションでは、この骨盤後傾の可動性低下や股関節後方支持組織の柔軟性低下が治療対象となります。

股関節後方の支持組織には靱帯、関節包、筋肉があります。靭帯の中では、特に坐骨大腿靱帯が重要です。上方と下方の繊維束に分けられ、上方繊維束は屈曲で弛緩し、下方繊維束は屈曲30〜45°で最も弛緩し、その後は緊張が高くなる特徴があります。このため、屈曲位では下方繊維束が制限につながりやすく、治療対象となります。

筋肉では、外旋筋群が後方支持組織に含まれます。股関節屈曲、内転、内旋時に、外旋筋群の中で最も伸張されるのは外閉鎖筋です。このため、外閉鎖筋の伸張性が低下すると頸部を前方に押し出してしまい、骨頭の偏位につながり治療対象となります。

リハビリテーションの実際

①外閉鎖筋のリラクゼーション

外閉鎖筋の過緊張改善のためにリラクゼーションを行います。外閉鎖筋は筋の走行が真横のため股関節の内転・外転させないで骨頭がブレないように外旋を誘導し、収縮と弛緩を繰り返します。

②外旋筋のストレッチ

リラクゼーション後に筋の伸張性の改善のためにストレッチを行います。四つ這いの状態で骨盤を後傾させ、殿部を横に移動させるようなに動かします。四つ這いで大腿骨が地面で固定されている状態で殿部を横に移動させることで股関節の内転・内旋、骨盤を後傾させる事で股関節の屈曲を促し外旋筋群のストレッチをしていきます。

③後方関節包・坐骨大腿靱帯の伸張操作

後方関節包・坐骨大腿靱帯の伸張性の改善目的に、大腿骨頚部軸屈曲(頚部の長軸を中心に頸部を回旋屈曲をさせていく運動)で操作します。これは通常の屈曲では臼蓋と大腿骨が衝突してしまいますが、頸部軸屈曲では臼蓋と骨頭の接点が一定で衝突が生じないため、後方組織の伸張が可能です。内旋方向への動きと、頸部軸方向に合わせた牽引で後方関節包・坐骨大腿靱帯の伸張を図ります。

股関節の痛み、特に前方のつっぱり感でお困りの方いらっしゃいましたら、ぜひ当院にお越しください。適切なリハビリテーションで、症状の改善、再発予防に努めてまいります。よろしくお願い致します。

理学療法士 尾又

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