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12/22 院内勉強会「股関節前面痛に対するリハビリテーション」について

[2023.12.22]

こんにちは。理学療法士の高橋(大基)です。今回は「股関節前面痛に対するリハビリテーション」について勉強会を行いました。

股関節は骨盤と大腿骨で構成される球関節でおり、動きの自由度が高い球関節です。動きの自由度が高い反面、周辺の軟部組織の状態や、骨盤と大腿骨の位置関係が可動域に大きく影響します。

股関節前面痛の要因は、大きく分けて3つ存在します。リハビリテーションでは、この要因を的確に把握し、要因に合った介入を行うことでスムーズな改善につながります。

① 屈曲動作において骨盤の後傾化と腰椎の後弯化に制限がある場合

正常な状態では、股関節の屈曲に伴い、骨盤は後傾し、腰椎の後弯が生じます。この動きの制限となるのは、主に多裂筋と腸腰靭帯です。この2つの組織はともに、仙骨、腸骨、椎骨に付着しているため、側臥位で腸骨を両手で覆うように把持した状態から、腸骨を仙骨から引き剥がすように牽引を反復する事で伸張性の改善を図ります。

② 股関節後方支持組織の柔軟性が低下している場合。

股関節の屈曲に伴い、股関節は内旋と内転の動きを伴います。この動きの制限となるのは、股関節の後方にある軟部組織、主に深層外旋六筋と腸骨大腿靱帯、坐骨大腿靱帯です。深層外旋六筋に対しては、セラピストによるダイレクトストレッチやテニスボールを使ったセルフストレッチを行います。靭帯に対しては、股関節の関節包がゆるむルーズパックポジション(屈曲30、外転15、外旋15°)で、内外旋し、ストレッチをかけることで伸張性の改善を図ります。

③ 股関節前方支持組織の柔軟性が低下している場合。

股関節屈曲に伴い骨盤全面と大腿骨の距離が近づきますが、前面にある筋の硬さがあると挟み込みを起こします。この場合、股関節の前面に位置する筋として主に大腿直筋と腸骨関節包筋(iliocapsularis muscle)に対しアプローチします。

大腿直筋の股関節に近い起始部は、3つに枝分かれしており、それぞれ直頭、半回頭、third headと呼ばれています。この中で半回頭は、腸骨大腿靱帯の上に巻き付くように付着しているため、股関節屈曲90°で等尺性収縮を用いて伸長性改善を図ります。third headは、小臀筋との筋連結を持っているため小臀筋のリラクゼーションを行う事で、伸張性向上を図ります。

腸骨関節包筋は、大腿直筋の深層で大腿直筋と関節包の間に存在する筋です。このため、大腿直筋との間の滑走不全が問題になります。この場合は、股関節屈曲90°位から大腿直筋起始部を触診し、深部へ押し込む形でストレッチを加えます。さらに膝関節屈伸の自動運動を行い、筋間の滑走を促します。

これら①〜③のアプローチを行ない、随時屈曲時の疼痛に変化があるかをチェックし、効果を判定し、より有効なリハビリテーションにつなげます。動きの制限や柔軟性低下の改善が得られた上で、筋力強化を行い、動作の安定、強化につなげます。

当院にも、股関節の痛みで来院されている方が多くいらっしゃいます。多くの場合、リハビリテーションで改善します。股関節の痛みでお困りの方、ぜひ相談ください。

これからも勉強会で学んだ知識を治療に活かして頑張ります。

理学療法士 高橋大基

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