9/8 院内勉強会「外傷性膝蓋骨脱臼の病態とリハビリテーション」について
こんにちは。理学療法士の尾又です。今回は「外傷性膝蓋骨脱臼の病態とリハビリテーション」について勉強会を開かせていただきました。
膝蓋骨脱臼とは、膝蓋骨が本来の位置からずれてしまう疾患です。
膝蓋骨脱臼には、なんらかの強い外力などにより脱臼する外傷性脱臼、脱臼を繰り返してしまう反復性脱臼、膝関節運動中に特定の角度で脱臼を生じる習慣性脱臼、膝の角度によらず常に脱臼位にある恒久性脱臼があります。今回は、外傷性の初回脱臼に対して勉強会を開かせていただきました。
症状として
①膝蓋骨の異常可動性:膝蓋骨脱臼は外方への脱臼が多く、内側の靭帯(内側膝蓋大腿靱帯など)や筋肉(内側広筋など)の損傷を伴っていることがあり、膝蓋骨の内側への牽引力が低下して外方への異常な可動性をみとめます。
②関節可動域制限:受傷直後は、疼痛や腫脹・不安感から可動域制限があります。炎症による疼痛が落ち着く1−2週間後には、癒着による周辺組織のタイトネス、不良肢位での固定による筋肉の短縮などで関節可動域制限が生じます。
③荷重制限:疼痛、不安感などで患側に荷重がかけられなくなる場合があります。
④膝くずれ:脱臼や、亜脱臼を繰り返す場合は、膝蓋骨が大腿骨滑車から逸脱するため膝がガクッとなり脱力する膝崩れが生じます。
保存療法では、受賞直後で腫脹や痛みが強い時にはニーブレースやギプス・シーネでの固定を行います。固定期間は、長くなると伸展機構の短縮により膝蓋骨の外方偏位が強くなってしまうため、必要以上に長くならないように注意が必要です。
リハビリテーションでは、
①痛みが落ち着き次第、早期から可動域訓練を開始し、可動域の再獲得を目指します。
②膝蓋骨の内方への牽引力に関与する内側広筋の筋力強化を図ります。
③膝蓋骨の外方偏位に関わる外側広筋のストレッチを行います。
④再受傷予防のため、膝が内側に入ってしまうKnee-inなどの不良動作を修正します。
今回は、これら外傷性膝蓋骨脱臼の病態とリハビリテーションについて確認しました。
患者様の身体の状態を正しく評価し、一人一人に合ったリハビリテーションを提供出来るよう、日々研鑽に努めてまいります。よろしくお願いいたします。
理学療法士 尾又