8/29 院内勉強会「膝前十字靭帯(ACL)損傷の術後リハビリテーション」について
みなさんこんにちは藤沢ぶん整形外科リハビリスタッフの織田です。
今回は、「膝前十字靭帯(ACL)損傷の術後リハビリテーション」の勉強会を行いました。
膝前十字靭帯は、全長約30~35mm、横径は約10mmで2束(もしくは3束)からなる線維束で形成される靭帯です。膝の前後運動、回旋運動を制御しており、前内側繊維と後外側繊維に分けられます。前内側線維束は、全可動域で緊張し、特に屈曲位で緊張が増します。後外側線維束は伸展位で緊張が増し、屈曲位で弛緩します。
ACL損傷を受傷しやすい競技として、サッカー・バスケットボールが挙げられます。
ACL損傷を起こしやすい動作としては急激な切り返し、急ストップ、ジャンプが多いです。特に、それらの動作の際に、膝が内側に入り、つま先が外を向くKnee-In・Toe-outの姿勢で受傷しやすく注意が必要です。ACLは関節内靭帯であり、損傷した場合に自然治癒が期待しずらい事がわかっています。放置すると不安定性により半月板損傷や変形性膝関節症などの発症につながります。このためACL損傷の治療法として、手術が推奨されています。
ACL損傷の術後はプロトコルにそってリハビリを進めていきます。ポイントは、早期に膝の可動域を回復させることです。可動域制限があると筋力低下を起こしやすく、疼痛残存につながったり、再発する危険性が高くなったりと、その後の予後に関わります。
今回は膝の屈曲と伸展の可動域改善の治療をメインに勉強会を実施しました。
①膝蓋骨の動きについて
膝の屈曲・伸展で膝蓋骨が動きますが、その時の膝蓋骨の正しい動かし方を学びました。また可動域制限があると本来ある膝蓋骨の位置が変わることが多いです。そのため膝蓋骨の正しい位置の確認について学びました。
②軟部組織の動き
膝周囲の組織は膝蓋骨の下に膝蓋下脂肪体、膝蓋骨の上に膝蓋上包などの軟部組織があります。それらの柔軟性低下が膝の屈曲・伸展制限につながります。そのため膝蓋下脂肪体・膝蓋上包の柔軟性改善の徒手療法について学びました。さらに大腿四頭筋のうち特に内側広筋と中間広筋が膝の屈曲・伸展の制限にかかわる事が多く重要です。それらのリリースとトレーニング方法の確認も行いました。
これらの手技はACL損傷の場合に限らず、膝に可動域制限のある場合(変形性膝関節症や膝人工関節の手術後など)にも有効な治療法だと考えます。もし膝の痛みでお困りの方がいらっしゃいましたら当院にお越しください。
よろしくお願いいたします。
理学療法士 織田