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7/5 院内勉強会「投球動作の動作解析とフェーズ毎の評価ポイント」について

[2024.07.05]

今回は、「投球動作の動作解析とフェーズ毎の評価ポイント」について勉強会をしました。

投球動作は、上肢中心に行われる動作と考えがちです。しかし実際は、股関節、体幹、上肢へと運動の連鎖により成り立っています。そして投球動作に伴う痛みは肩や肘に起きることが多いですが、その根本的な原因は、肩や肘ではなく、体幹、股関節など患部外にある事が特徴です。

今回は、投球動作のフェーズ(ワインドアップ期、アーリーコッキング期、レイトコッキング期、アクセラレーション期、フォロースルー期)それぞれでの動きの解釈とそれに即した評価ポイントについて学びました。

ワインドアップ期では、片脚起立姿勢での安定性が重要になります。軸足の片脚立位姿勢が不安定になると、前後左右に体幹が偏位します。その結果、ステップ脚のスムーズな前方移動が行われず、アーリーコッキング期へと移行する事ができません。このため、体幹部の安定性、軸足股関節の臀筋・内転筋群の筋力や柔軟性が必要です。

アーリーコッキング期では、挙上したステップ脚を前進させつつ、軸脚側の股関節の内・外転筋を使った並進運動と股関節外旋筋による骨盤の回旋運動によってステップ脚側のフットコンタクトに至ります。フットコンタクト直前に、股関節外転角度の増大に伴う軸足側の股関節内転筋群の遠心性収縮が高まり、重心が前方に突っ込みすぎたり、後ろに残ったままにならないようにしています。このため、軸足股関節の伸展・外転・外旋方向の柔軟性と、殿筋群・内転筋群(遠心性収縮)などの筋力が必要になります。

レイトコッキング期では、投球側肩関節を外転・外旋しながら、肘関節は外反され、その後のボールリリースにつながります。この時期に、運動速度が最も速くなり、肩・肘関節の負荷が最大となります。最大の肩関節外旋角を獲得するために、胸椎伸展と股関節伸展によって体幹はしなり、肩甲骨は後傾します。この時に、胸椎の後弯(不十分な胸の張り)があると、肩の水平外転・外旋の制限をきたし、肩関節内でインビンジメントや肘関節の外反ストレス増大につながり、肩関節痛や肘内側痛につながります。そのため、胸椎伸展と股関節伸展・回旋の柔軟性が重要です。また、全体重をステップ脚で支持するため、ステップ脚側の大殿筋・大腿四頭筋などの筋力も必要です。

アクセラレーション期からフォロースルー期では、ステップ脚側股関節の屈曲・内旋運動と、体幹の回旋運動の後、ステップ脚の股関節伸展筋力によって重心の前方移動が行われます。フォロースルー期の重心移動が不十分な場合には、腱板や上腕三頭筋へのストレスが増大し、障害・損傷へとつながる恐れがあります。このため、軸脚側の股関節の伸展・外転・内旋、ステップ脚側股関節の屈曲・内旋、体幹の回旋方向の柔軟性とステップ脚側の股関節の殿筋群、ハムストリングスなどの筋力が必要です。

投球動作による肩・肘障害は、しばしば生じます。その根本的な原因は、肩や肘ではなく、体幹、股関節など患部外にある事が特徴です。その原因を正確に把握し、的確な治療することが早期復帰、再発予防につながります。

今回の勉強会では、投球動作を各フェーズごとに理解し、その動作に必要な関節の柔軟性や筋力を知ることで、投球障害の原因をみつけていくことを共有できたと思います。

投球動作に伴う肩や肘の痛みがある方は、先延ばしにせず、ご相談ください。当院は、野球肩に対するリハビリテーションも積極的に対応しております。          

理学療法士  高石

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