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1/12 院内勉強会「体幹筋のモーターコントロールとリハビリテーション」

[2024.01.12]

こんにちは、理学療法士の高石です。今回は「体幹筋のモーターコントロールとリハビリテーション」について勉強会を行いました。

体幹筋は、文字通り体幹の筋肉ですが、腰椎に直接付着するローカル筋群と、胸郭と骨盤を直接繋ぐグローバル筋群に分けられます。ローカル筋は体幹深部に位置し、腰椎の分節的安定性を制御しています。グローバル筋は脊椎運動時の力を発声し、前後屈、側屈、回旋などの運動に働きます。

従来は、腹筋、背筋といったグローバル筋のトレーニングが多く行われてきましたが、近年、ローカル筋の体の軸を安定させる働き、四肢への力の伝達の土台としての働きが注目され、ローカル筋のトレーニングに注目が集まっています。多くの研究で腰痛治療やスポーツ分野でのパフォーマンス向上に有効であることが示されています。

モーターコントロールとは、脳や神経系による筋肉の動きの制御のことです。体幹筋は、四肢の筋肉に比べ協調的な姿勢制御の役割を担っている割合が高いとされています。このことから、体幹筋トレーニングでは筋肥大や筋力向上を狙うだけではなく、姿勢や抗重力を制御するためのモーターコントロールをトレーニングすることが重要です。

体幹筋群のモーターコントロールが良好な場合、まず腹横筋や多裂筋などのローカル筋が活動し脊柱の安定性を得た後に、脊柱起立筋などのグローバル筋群が活動し、前屈や後屈などの運動が安定、かつ滑らかに行われます。しかし、体幹筋群のモーターコントロールが不良だと、ローカル筋の活動低下や活動遅延によって、脊柱の安定性が得られる前に脊柱運動が生じてしまいます。その結果、安定性の低い部位に運動の応力が集中し、椎間板障害、椎間関節障害、仙腸関節障害などを生じてしまいます。また、グローバル筋群の過活動による筋・筋膜性障害も生じます。腰痛で来院される方の多くは、体幹深部のコントロールがうまくできていない印象です。

モーターコントロールの改善、向上のためには、特定の動作を繰り返し行い神経系の強化との筋肉の協調した動きを定着させ、運動の精度や効率を上げることが重要です。

今回の勉強会では、腹筋運動中の背筋群のモーターコントロールの評価とそれに基づいたリハビリテーションを学びました。

評価では、運動中に腹筋群と背筋群の活動を確認します。モーターコントロール不良の場合は、腹筋の活動を促した際に背筋群も緊張させてしまいます。次に腹筋の活動をその上部と下部に分けて評価し、それぞれの求心性・遠心性の筋活動も評価します。

具体的には、①仰向けで膝を立てた姿勢で腰椎屈曲運動をします。次に、②頭部挙上→上部体幹の屈曲→骨盤後傾の順で行います。さらに③頭部を下ろす→骨盤を下ろす→腰椎屈曲の力を抜くの順で行います。①〜③の動きで、背筋群に力が入っていないか評価することで、背筋群のモーターコントロールの評価ができ、②の動きで腹筋群の求心性収縮能力を、③の動きで腹筋群の遠心性収縮能力の評価が可能です。

また、四つ這いや腹臥位の姿勢で片側上肢もしくは片側下肢の挙上動作を行い、その動作の間の背筋群の筋緊張の有無を確認するのも有用な評価法です。

治療では、これらの評価における良好なモーターコントロールの筋収縮の動きを説明し、実際の動きの中で繰り返し行うことで、正しいモーターコントロールを会得します。評価の際に腰痛が再現される場合は、治療後に腰痛が消失するかの確認が効果判定として有用です。

トレーニングと聞くと筋肉を大きくしたり強くするイメージが強いです。しかし、体幹筋のモーターコントロールのトレーニングでは、体幹のローカル筋とグローバル筋が協調的に働く状態をつくることが大切です。

これからも新しい知識を取り入れ、よりよい運動療法を提供出来るように頑張ります。

理学療法士 高石

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