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1/19 院内勉強会「ランニング動作による鵞足炎のリハビリテーション」について

[2024.01.19]

こんにちは。理学療法士の尾又です。今回は「ランニング動作による鵞足炎のリハビリテーション」について勉強会を行いました。

鵞足とは、膝関節の内側の脛骨近位部のことです。薄筋、縫工筋、半腱様筋といった大腿部からの筋肉が付着しています。これらの筋肉の付着部が先に向かって広がっている様子が、鳥の足のように見えることから鵞足と名付けられています。鵞足を構成する筋群と内側側副靱帯の間には、滑液包が存在します。

鵞足炎のメカニズムには、①鵞足を構成する筋の停止部に牽引ストレスが加わることによる腱症、と②構成筋と内側側副靱帯の摩擦ストレスが原因で生じる滑液包炎があります。

ランニング動作では、Foot-strike(足底の一部分が路面に接触する瞬間)〜Mid-support(足部が路面に固定され体重支持をして、踵部が路面から離れるまで)にかけて疼痛が生じることが多いです。原因として、下腿の過外旋のアライメント、toe-out接地(つま先が外側に向いていること)、足部の内側縦アーチの低下、股関節の内転・内旋などがあります。これらの要素がある場合に、ランニングによる繰り返しの動作の結果、鵞足にストレスが加わり、炎症・疼痛につながります。

評価では、まず、どの筋肉が症状を起こしているのかを、トリガー鑑別テストで判断します。鵞足を構成する筋の薄筋・縫工筋・半腱様筋をそれぞれ筋の走行に合わせて伸張して、疼痛再現の有無を確認します。赤羽根らの報告*)によると、薄筋単独が68.0%、薄筋と縫工筋の合併が16.0%、縫工筋単独が8.0%、半腱様筋は0.0%と薄筋が疼痛に関与することが多いとされています。

また、原因となっている不良動作を見つけるために、①片脚スクワットでの姿勢のチェック、②スプリットスクワット肢位で徒手的に動揺を加え、抵抗できるのかのチェック、を行います。また、実際のランニングの様子を動画で撮影し、動きのチェックも行います。

リハビリテーションでは、上記の評価の結果に応じて①疼痛の原因となっている筋肉の柔軟性改善や滑走不良の改善、②不良動作の改善を図ります。

筋の柔軟性の改善に当たっては、停止部の鵞足に伸張ストレスがかかり疼痛を助長しないように停止部の前で圧迫を加えてストレッチを行います。改善には、自宅で継続する自己ストレッチも重要です。また、付着部で滑走不良に対しては、筋を把持して徒手的に誘導して滑走性の改善を図ります。

不良動作の改善に関しては、ランニングフォームの改善とそれに合わせたエクササイズ(ストレッチ、筋力強化)の提案、インソールの提案などを行います。

ランニングだけでなく、変形性膝関節症に伴う膝の痛みの中にも鵞足炎が含まれている場合もあります。

膝の内側の痛みでお困りの方いらっしゃいましたら、ぜひ当院に相談ください。適切な評価とリハビリテーションで、症状の早期改善、再発予防に努めてまいります。よろしくお願い致します。

理学療法士 尾又

*)鵞足炎におけるトリガー筋の鑑別検査 赤羽根 良和ほか 理学療法ジャーナル46巻2号 2012

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