11/14 院内勉強会「腰椎後弯変性症に対するリハビリテーション」について
こんにちは、理学療法士の高橋です。今回は、「腰椎後弯変性症に対するリハビリテーション」について勉強会を行いました。
腰椎後弯変性症(lumbar degenerative kyphosis:LDK)は、加齢に伴い背骨が前方に曲がってしまう状態です。中腰で作業をする方や高齢女性に好発します。LDKの特徴は、円背姿勢による頭部前方偏位、前方重心であることです。この姿勢を持続すると、腰部伸筋の変性や萎縮を引き起こし筋力低下が生じます。その結果、頭部重心はますます前方にシフトしやすくなり、脊椎がさらに後弯化するという悪循環に陥ります。
主な症状は、腰背部痛や立位、歩行に伴う腰の曲りで、変形が強くなると、歩行時に前を向けなくなることもあります。
治療は、基本的に症状に合わせた投薬やリハビリテーションなどの保存療法ですが、重症の場合は手術になることもあります。
リハビリテーションでは、姿勢の悪循環を改善するために、立位や歩行において、腰椎前弯位、仙骨前傾位、胸椎伸展位を保てる様に姿勢を誘導し、頭部重心の前方偏位を最小限に抑えることが重要です。具体的には、鏡や写真をとって姿勢のフィードバックを行い、自分が今どんな姿勢で、理想の姿勢はどんな姿勢なのかを確認します。次に仰向けで背中にテニスボールを入れて腰部伸筋のマッサージを行います。20秒間かけて復習箇所緩めることで柔軟性の獲得が期待できます。続いて、背中に筒状にしたタオルを縦に入れて深呼吸またはバンザイをします。ゆっくり呼吸を行いながらすることで胸椎伸展が促されます。その後横向きになって、下半身を固定した状態で上半身のみゆっくり回旋します。そうすると肋間の拡大や胸腰筋膜のストレッチになります。最後に座位の状態でバンザイを行い背筋群の強化を行います。可能であればゴムを使って負荷をかけて行えるとより良いです。
また、腰部伸筋群の組織硬度が高いほど筋内圧は上昇しやすいため、背筋群の柔軟性改善を行います。場合に応じてコルセットの装着により、立位や歩行時に体幹の前屈姿勢を抑止し、筋内圧の上昇を抑えます。
LDKは、変形した脊椎そのものを運動療法で矯正することは難しいため、これらの運動を反復し姿勢や柔軟性、筋力改善によって症状の改善を目指します。
歩いていると背中が曲がってしまうなどの症状でお困りの方がいらっしゃいましたら、当院へお越しください。今後とも的確なリハビリテーションを提供できるよう精進してまいります。よろしくお願い致します。
理学療法士 髙橋大基