メニュー

11/1 院内勉強会「腰椎分離症のリハビリテーション」について

[2024.11.01]

こんにちは。理学療法士の羽生です。今回は「腰椎分離症のリハビリテーション」について勉強会を行いました。

腰椎分離症とは、腰椎椎弓の椎弓峡部(関節突起間部)に起こる疲労骨折であり、青少年のスポーツ選手に多発します。日本人男性の約8%にみられ、成長期のスポーツ選手の腰痛原因の30~40%を占めます。スポーツに伴う腰部の伸展と回旋動作の繰り返しで発症します。部活動などに伴う腰痛では、分離症の可能性が高く、当院では単純レントゲンに加えて、MRIでの早期診断、CTによる病気分類を行なっています。

CTによる病期分類では、①初期:椎弓狭部に部分的に骨折線がある状態(不全骨折)、➁進行期:椎弓峡部に完全骨折がある状況、➂末期:骨折部周囲に骨硬化がある偽関節の状態に分けられます。

それぞれの時期の症状の特徴は、以下の通りです。

➀初期:分離初期の症状として多いのは腰部から大腿部にかけての放散痛を伴う腰痛であり、疲労骨折そのものによる腰痛です。程度の大小はあるものの、ほぼ全例で腰痛を伴いますが、初期の腰痛は軽微であることが多く、受診することが少ないです。

➁進行期:分離部の疲労骨折が癒合せず完全骨折となり、不安定性による疼痛と考えられます。安静時にも腰痛はあることが多く、スポーツ活動だけでなく、立つ、座る、歩くなどの日常生活動作にも支障を伴っていることが多いです。

➂終末期:偽関節の状態での痛みであり、主に分離部から椎間関節に拡がる滑膜炎による腰痛になります。他にも不安定性による椎間板変性から椎間板性痛や椎体終板炎による腰痛もあります。また、成人以降では分離すべり症(ずれること)に進行し、神経根障害として下肢痛やしびれを引きおこすこともあります。

治療は、基本的に保存療法で、コルセット固定とリハビリテーションになります。

コルセット固定の目的は、安静維持による分離部の骨癒合獲得ですが、治療開始前の病期分類により骨癒合率が大きく変わります。この骨癒合率は、初期の場合は90%ですが、進行期では64-27%、終末期では0%と進行するに従い低下します(Sairyo K、J Neuroserg Spine, 2012)。このため、初期から進行期では骨癒合を目指しコルセット固定とスポーツ活動の休止が推奨されますが、終末期の偽関節の状況では、コルセット固定は行わず、症状に応じてスポーツ活動は継続されます。

リハビリテーションでは、コルセット固定の有無に関わらず、分離部への過負荷を回避し、再発を予防するために重要です。

腰部に過剰な伸展回旋負荷がかかる原因として、①胸郭や下肢の可動性低下により腰部に伸展、回旋ストレスが集中すること、②体幹機能の低下による腰部の安定性低下が挙げられます。このため、胸郭や下肢の柔軟性の評価と体幹機能の評価は重要です。

その上で、下肢、胸郭の柔軟性の改善を図ります。下肢では可動性低下の原因になっている筋、ハムストリング、大腿四頭筋、腸腰筋などのマッサージ、ストレッチを行います。胸郭では、回旋、伸展のエクササイズを行います。さらに、体幹強化をのエクササイズを行います。これらは、ホームエクササイズとして、自宅でも行うことが望ましいです。その上で、スポーツ動作における動きの修正と正しい動作の会得を図ります。

腰椎分離症は、再発することが多いことが知られています。再発予防のためには、リハビリテーションで胸郭・下肢の柔軟性を維持し、体幹筋を強化し、正しい動作を会得することが重要です。

当院では、MRIを使った早期診断から再発予防のリハビリテーションまで、対応しております。スポーツに伴う腰痛のある方は、ぜひ相談ください。

これからも皆さまの力になれるよう学び、学びに基づいたリハビリテーション治療を頑張ります。よろしくお願いします。

理学療法士 羽生

 

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME