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10/18 院内勉強会「肘関節伸展制限のリハビリテーション」について

[2024.10.18]

こんにちは。理学療法士の高橋大基です。今回は「肘関節伸展制限のリハビリテーション」について勉強会を行いました。

肘関節の捻挫や骨折の保存療法や手術後などに局所の安静目的に屈曲位で固定をすることは多く、その結果、癒着による肘関節の可動域制限が起きることがあります。上腕二頭筋や上腕筋、腕橈骨筋、関節包などの肘関節前面に付着している筋や組織の短縮や癒着の結果、肘関節の伸展制限や前腕の回内外制限につながります。

この肘関節の伸展制限の改善には、腕橈関節での橈骨の可動性改善や、腕尺関節の適合性不良の改善が必要です。

伸展制限の原因評価として、①橈骨頭背側押し込みテスト、②尺骨内反誘導テスト、③前腕回外・尺骨外旋誘導テストがあります。

① 橈骨頭背側押し込みテストでは、橈骨頭を背側に押し込みながら肘を伸展し、疼痛の減弱や可動域改善の有無を確認します。症状の改善がみられる場合は、橈骨後方可動性低下が原因と考えられ、その改善が重要になります。

② 尺骨内反誘導テストでは、尺骨を内反方向に誘導しながら肘関節を伸展し、疼痛の減弱や可動域改善の有無を確認します。症状の改善がみられる場合は、肘関節の外反増強が原因と考えられ、そ

の改善が重要になります。

③ 前腕回外・尺骨外旋誘導テストでは、前腕を最大回外し、尺骨を外旋方向に誘導しながら肘を伸展し、疼痛の減弱や可動域改善の有無を確認します。症状の改善がみられる場合は、尺骨外旋可動域の減少が原因と考えられ、その改善が重要になります。

これらの評価をもとに、原因となっている筋のストレッチやホームエクササイズにより速やかな改善を目指します。ストレッチでは、上腕二頭筋、上腕筋、腕橈骨筋などの柔軟性改善を目的に肘関節を伸展し、上腕前面が伸びているのを感じながら20秒ほどストレッチします。この時に肘が外反しすぎないようにする事が大切です。さらにその位置を保持しつつ、抵抗下の屈曲運動を6秒間行います。この伸展ストレッチと抵抗下屈曲運動を数回繰り返します。これは伸張反射を利用したホールド・リラックス法と言われる手技の一つで、短時間で効率よく柔軟性を獲得できるのが特徴です。反動をつけてしまっている場合や1回のストレッチ時間が20秒以下の場合は、効果が得られにくいです。ホームエクササイズにおいても、ストレッチは20秒以上かけて丁寧に伸ばすようにしましょう。可能な限りこまめにホームエクササイズに取り組むことがスムーズな改善につながります。

肘関節周囲の骨折や靭帯損傷の際の固定で関節拘縮を起こさないためには、必要最小限の固定期間と可及的速やかな関節運動の再開が望ましいです。当院では、適切な時期の判断、疼痛コントロールの上で、理学療法士のサポート下での可及的早期の可動域訓練を心がけています。関節可動域回復に重要な期間は、損傷後6カ月までと言われております。肘関節周囲の外傷、骨折の場合は、ぜひ当院へ相談ください。これからも、皆さんのお役に立てるよう、研鑽を続けます。よろしくお願いいたします。

理学療法士 高橋大基

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