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5/19 院内勉強会「上腕骨大結節骨折後のリハビリテーションについて」

[2023.05.19]

こんにちは、藤沢ぶん整形外科リハビリスタッフの高橋(孝)です。今回のテーマは「上腕骨大結節骨折後のリハビリテーションについて」です。

上腕骨大結節骨折は、上腕骨近位端骨折の中で外科頚骨折に続いて2番目に多く、①前方脱臼や転倒時の上肢過内転肢位でのインナーマッスルの牽引による剥離骨折、と②転倒時の上肢過外転肢位で大結節と肩峰がぶつかることによる衝突骨折、の二つのタイプがあります。解剖学的に大結節は棘上筋、棘下筋、小円筋が付着しています。これらの筋は肩関節のインナーマッスルであり、肩のスムーズな動きには重要とされています。骨癒合後の大結節の形態によっては、挙上・外転動作に伴い肩峰とのぶつかり(インピンジ)を起こし、炎症を繰り返す場合があります。

リハビリテーションでは、早期は座位や臥位での姿勢注意やリラクセーションによる徐痛を図ります。骨癒合の進行した時期の運動療法では、損傷に伴い癒着した軟部組織の伸張性と滑走性を改善させていき、関節機能を回復させることが目的となります。運動療法は骨折部の骨癒合がある程度進み、炎症や疼痛が軽減した時期から開始するとよいとされていますが、安静期間が長くなりすぎると組織の癒着による関節拘縮が進み治療に時間がかかります。一方、早期から骨折部や損傷した軟部組織に侵害刺激を加えると、疼痛増悪をきたし、筋緊張を高めてしまい可動域制限がさらに顕著となり、この場合も治療に期間がかかります。適切なタイミングで、可能な限り疼痛を起こさずに愛護的な操作が求められます。

本日は、可動域改善において有効である、

①早期からの拘縮予防と可動域改善に有効な、上肢を下垂位にして振り子のように振るstoppingエクササイズ法、② 癒着部の滑走性と伸長性の改善のための棘上筋、棘下筋、小円筋のリリース法、を学びました。時期と症状に応じて適切に行うことで、効率的、有効にリハビリテーションを進めることができると考えます。この運動療法は肩関節周囲炎(五十肩)の方のリハビリテーションにおいても有効な手技と考えられます。

これからも、地域の皆様やスポーツ愛好家の皆様の期待に応えるリハビリテーションを提供できるよう、日々研鑽に努めてまいります。

理学療法士 高橋(孝)

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