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3/3 院内勉強会「足関節捻挫と慢性足関節不安定症のリハビリテーション」について

[2023.03.03]

こんにちは。理学療法士の高石です。今回は「足関節捻挫と慢性足関節不安定症のリハビリテーション」について勉強会を開かせて頂きました。

 足関節捻挫は、全スポーツ障害の15−30%を占め、もっとも発生頻度が高いことが知られています。しかし、軽微な外傷と捉えられがちで、医療機関を受診しないことや、適切な治療を受けられないことが指摘されています。さらに、再受傷することも多い(47-73%)ことが知られています。その結果、足関節捻挫受傷者 の約 40%が、慢性足関節不安定症(Chronic ankle instability、以下CAI)に陥るといわれています。このCAIとは、慢性的に疼痛や不安定感などの症状が残存し,反復性の足関節捻挫に悩まされている状態です。International Ankle Consortiumによる定義(IAC基準)では、主に①少なくとも1度以上の足関節外側捻挫がある、②足関節の”Giving-way(制御不能かつ予測不能な過度の後足部内反の定期的な発生のこと)”、再発性捻挫、不安定感の既往がある、という表現で示されています。その原因として、靭帯の弛みや関節変性など構造的な問題による構造的不安定症と、足底部の表在感覚の低下や足部を安定させる筋肉の筋力低下などの機能面の問題により生じる機能的不安定症があり、これらが混在しています。

今回はこのCAIに対する評価法と、リハビリテーションを確認しました

評価としては、

①構造的不安定性の評価:前方引き出し、うち返しストレステストによる距腿関節の不安定性の評価に加えて、距骨下関節の不安定性(距骨に対する踵骨の不安定性)も評価します。

②機能的不安定性の評価:CAIでは足底の踵部・第5中足骨底部・第1中足骨頭部の皮膚感覚低下を認めやすいです。そのため、左右での表在感覚の差を確認する。さらに、姿勢バランスと筋力の評価として、うち返し方向への急な外力に対する抵抗性を、臥位や踵挙上の姿勢で評価します。

リハビリテーションでは、

構造的不安定性に対してはサポーターやテーピングで対応

機能的不安定性に対しては、①足底マッサージ・距骨後方モビライゼーションによる姿勢バランスの改善、②動作の中での正しい動きの獲得を目指すバランストレーニング③外返し筋力の強化のためのチューブを用いた長腓骨筋のトレーニングを行います。筋力強化は、最初は非荷重で行い、慣れてきたら荷重位に移行し、実際に体重が掛かるタイミングでの収縮を促すように、段階的に負荷を上げていきます。④また、股関節の外転・外旋筋力の強化により、足底荷重の外方化を予防します。

CAIは、スポーツ活動のパフォーマンスの低下だけでなく制限や断念に繋がったり、将来的に変形性足関節症になることもわかっています。

当院では、捻挫の正確な診断、治療に力を入れています。繰り返しやCAIになる前にぜひ相談ください。

これからも私達は地域の皆様、スポーツ愛好家の方々に、適切なリハビリを提供できるように日々研鑽に努めてまいります。よろしくお願いします。   

理学療法士 高石

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