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3/22 院内勉強会 「変形性膝関節症に対する運動療法」

[2022.03.22]

おはようございます!

藤沢ぶん整形外科リハビリスタッフの高橋(大)です。

今回は、最新の「変形性膝関節症に対する運動療法」というテーマで勉強会を行いました。

まず変形性膝関節症は、レントゲンの変形の度合いで4段階(K-L分類gradeⅠ〜Ⅳ)に分けられ、治療方針が決められます。軽症の場合はまず薬物療法、注射、リハビリテーションなどの保存療が選択され、gradeⅢ、Ⅳで痛みが強い場合は手術が選択肢に上がります。我々理学療法士が担当するリハビリテーションは、動作指導、ストレッチ、筋力トレーニングなどの運動療法になります。

変形性膝関節症の疼痛は、解剖学的に分析すると膝蓋下脂肪体・半膜様筋・内側側副靱帯由来が多いと報告されております。今回はこの3つの疼痛部位の評価や治療法について学びました。

①膝蓋下脂肪体について

膝蓋下脂肪体由来の疼痛は、椅子座位からの立ち上がりや階段下り等の動作での膝前面の鋭痛である事が多いです。身体所見には、膝関節の完全伸展ができないことや、膝伸展位で膝蓋腱の内側または外側を圧迫することで痛みは誘発されることが挙げられます。痛みをとるためには局所注射が有用ですが、機能回復にはリハビリテーションが欠かせません。リハビリテーションでは、膝蓋下脂肪体の柔軟性、移動距離の改善、殿部離床時の大腿四頭筋の張力低減を図ります。具体的には、非荷重下での膝関節屈伸と、股関節軸を使用したスクワットを行います。

②半膜様筋について

半膜様筋由来の疼痛は、歩行や階段昇降時の膝後内側部痛です。身体所見には、半膜様筋の停止部(anterior arm)の圧痛や、特徴的なものとして歩行時の踵接地がみられず足底接地である事が挙げられます。注射による疼痛緩和の後にリハビリテーションで機能改善を図ります。実際には、膝関節屈曲位において、半膜様筋腱の内側への移動を抑制した状態での、ストレッチングや等尺性収縮エクササイズを中心に実施していきます。 

③内側側副靱帯について

内側側副靱带由来の疼痛は歩行時の膝内側部痛です。身体所見には、内側側副靱带の圧痛や歩行速度の低下・立脚期に体幹を立脚側に傾けるtoeout歩行がみられます。内側側副靱带は深層で内側半月板に付着しています。内側半月板の加齢変化は、内側半月板の水平断裂を起こし、内側に逸脱します。その結果、膝屈伸による内側側副靱带浅層の摩擦ストレスが増し、内側側副靱带滑液包腫脹が生じ疼痛に繋がるメカニズムが知られています。治療では、注射による疼痛緩和の後に、内側側副靱带浅層、深層に対する滑走不足に対し、滑走をアシストしつつ屈伸動作を実施します。また杖を使用する事によって膝内側部へのストレスが10.1%低減すると報告されており、杖歩行も有用です。

膝の痛みにも、人それぞれ異なる病態があります。適切な評価に基づき、適切なリハビリテーションを提供させて頂きます。

これからも一人でも多くの方の期待に応えられるよう、スタッフ一同学び続けます。よろしくお願いします。

理学療法士 高橋(大)

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