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2/9 院内勉強会「結帯動作の再獲得に向けたリハビリテーション」について

[2023.02.09]

こんにちは、理学療法士の高橋(だいき)です。

今回は、「結帯動作の再獲得に向けたリハビリテーション」というテーマで勉強会を開催しました。

当院には、肩関節の痛みや可動域制限で困っている方が、多くいらっしゃいます。

肩関節は可動域の大きい球関節です。前方挙上、伸展、外転、内転、内旋、外旋などの動きがあり、かつその複合でさまざまな動きがります。その中で「結帯」という動きがあります。これは、文字通り「帯を結ぶ動作」で背中に手を回す動作のことで、肩関節の伸展、外転、内旋という3つの複合運動によって獲得される運動です。この結帯動作は、肩の可動域制限の治療において時間がかかり、最後に残る制限であることが知られています。

肩関節は、①肩甲上腕関節(肩甲骨と上腕骨で形成される関節)と②肩甲胸郭関節(肩甲骨と胸郭で形成される関節)に分類されます。

結帯動作における肩甲骨の動きをを分析すると、①肩甲上腕関節では伸展→外転→内旋と動き、②肩甲胸郭関節では手が腰あたりまでは挙上・内転、中間領域では挙上・上方回旋、背中上方では挙上・下方回旋に動きます。これらは複合運動であるため、様々な代償(他の動きで補うこと)も多く存在する事が特徴です。

結帯動作の再獲得へ向けたリハビリテーションでは、肩甲上腕関節と肩甲胸郭関節を区別し、動きを観察します。どの動きでどこに痛みが出ていて、どこに制限があるのかを評価します。介入の優先順位としては、肩甲上腕関節を先に、次に肩甲胸郭関節の順で行います。肩甲上腕関節に制限がある場合は、そちらを先に解決し、その後で肩甲胸郭関節の介入に移ります。

肩甲胸郭関節の介入では、肩甲骨の可動域に加えて、肩甲骨周囲筋の筋力強化と動きを観察します。肩甲胸郭リズムと言って、肩甲上腕関節と肩甲胸郭関節の動きに時は、適切なタイミングで適切な方向に動くリズムがあり、多くの場合これが崩れています。結帯動作の再獲得には、可動域の改善、筋力の強化、動きの再学習により、これらのポイントを修正し、正常化することが欠かせません。

今回は評価方法として、肩甲帯の動きの評価としてダンベルを持って動きと筋力を評価するScapular Dyskinesis Test、肩甲骨の動きを徒手的に誘導する事で症状の変化を評価するScapular Assistance Test、肩甲骨を固定し動きを制限した状態での症状の変化を評価するScapular Retraction Testを確認しました。

結帯の際の肩甲骨の上方回旋と外転に働く前鋸筋の筋力トレーニングを2種類試しました。そのうちの一つでは、両肘を斜め上に向かって押し出す動きに加えて、両肘にゴムバンドを巻くことを加えると、想像以上に負荷の強いトレーニングを経験することができ、新しい発見となりました。

これからも新しい知識を取り入れ、日々勉強し、よりよい治療を提供出来るように頑張ります。

理学療法士 高橋大基

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