11/1 院内勉強会「腰椎分離症と胸郭の関係とそのリハビリテーション」について
こんにちは。理学療法士の高石です。今回は「腰椎分離症と胸郭の関係とそのリハビリテーション」について勉強会を開かせて頂きました。
腰部のスポーツ障害の中で、発育期腰椎分離症は代表的な疾患です。病態は、繰り返される腰椎伸展・回旋ストレスによる椎弓狭部の疲労骨折です。
腰椎分離症は、腰椎の画像評価から①初期(一部に骨折線を認めるもの)、②進行期(完全骨折だが骨硬化を伴わないもの)、③終末期(骨硬化を伴い偽関節になったもの)に分けられます。
初期から新後期にかけては、装具療法により骨癒合が得られる可能性があります。一方終末期は、残念ながら骨癒合の得られる可能性は低いことがわかっています。
このことから、初期から進行期にかけては、硬性コルセット装着による保存療法、末期は症状に応じた対症療法が選択されます。
また、腰椎分離症は第5腰椎に発症することが多いことが知られています。さらに、再発が多いこと、片側発症に続発する対側発症や、上位の第4腰椎での続発があることもわかっています。
このため、腰椎分離症治療の課題は、「再発をさせないこと」「他椎体の発症を防ぐこと」が重要となります。この意味で、リハビリテーションは不可欠です。
腰椎の伸展・回旋ストレスが過度になる原因として胸椎可動性の低下と胸郭の柔軟性低下が挙げられます。
腰椎の可動域が伸展15°、回旋5°であることと比較し、胸椎は伸展20°〜25°、回旋30°であることがわかっています。胸郭の柔軟性は胸椎の可動域に強く影響します。つまり、脊柱全体の可動域において胸椎・胸郭の果たす役割は大きいのです。スポーツ活動において、胸椎の伸展・回旋可動域の低下があると、代償として腰椎に過度な伸展・回旋ストレスが加わります。このことが腰椎分離症発生につながるのです。
腰椎分離症のリハビリテーションは、①骨癒合が得られるまでのリハビリテーションと②骨癒合、癒合傾向が得られてからのスポーツ完全復帰までのリハビリテーションに分かれます。
骨癒合までのリハビリテーションは、最大の目的は骨癒合であるため、腰椎への負担を最小限にした上でインナーマッスルの活性化や胸郭・胸椎の柔軟性向上を図ります。
骨癒合が得られてからのスポーツ完全復帰までリハビリテーションは、筋力強化・柔軟性向上も図りながら段階的にスポーツ復帰を許可していきます。また、各スポーツ動作につなげるための運動療法や複数の関節を協調するトレーニングを実施していきます。
今回は、それぞれの時期にあった胸郭への介入方法を中心に試しました。
もちろん、スポーツそれぞれの動きの特性から、胸郭だけでなく上肢や下肢などの評価・治療も重要と考えます。それぞれの状態にあった対応を心がけます。
これからも皆様の充実したスポーツライフの応援団としてスタッフ一同精進していきます。よろしくお願いいたします。
理学療法士 高石