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10/11 院内勉強会「胸郭と上肢可動域の関係性」について

[2022.10.11]

こんにちは。理学療法士の高石です。今回は「胸郭と上肢可動域の関係性」について勉強会を開きました。

胸郭とは、解剖学的には胸骨・肋骨および胸椎で構成される籠状の骨格を指します。主な役割は胸部臓器の保護と呼吸運動を担っています。この胸郭に加えた肩甲骨の動き(肩甲胸郭関節)が上肢の可動性にも大きく関わってきます。

胸椎の伸展運動は正常な肩甲骨の機能にとって重要であり、この運動の障害は肩峰下インピンジメントや肩の痛みの発症に寄与する可能性があるといわれています。また、姿勢調整で胸椎の伸展運動を制限すると、肩が痛くない人であっても上肢挙上可動域が減少します。胸椎が伸展し、この運動軸を中心に肋骨の後方回旋と前方部の挙上が生じることで胸郭が広がり、その結果上肢挙上がスムーズになります。

肋骨運動制限がでる場所によって、肩関節に特定の方向の可動域制限が生じることが指摘されています。

①第1-4肋骨前方内側部は、内旋(結帯)動作

②第2-5肋骨前方外側部は、肩関節挙上動作と外旋動作と2nd内旋(90°外転位内旋)動作

③第5-10肋骨前方内側部は、挙上動作

これら肩関節可動域制限の方向と該当する箇所をモビライゼーションや運動療法で改善することで、上肢の可動域に改善が得られます。

猫背(胸郭が前屈し、肩甲骨が前傾した姿勢)を改善すると、肩関節の可動域が改善することは知られています。肩関節周囲炎の治療において、胸郭と肩甲骨の動きと安定性(肩甲胸郭機能)は重要です。

スポーツにおいても胸郭の柔軟性は重要視されています。代表的なスポーツとしてはボクシングが挙げられます。例としてジャブのようなほとんど予備動作なく放たれるパンチでは、フットワークを駆使した動きの最中に、相手の攻撃に対応しながら繰り出されるパンチであるため、常に肩関節の求心位を保っている必要があります。この恒常的な肩関節求心位保持を可能にするのが、柔軟な胸郭といわれています。もちろん、野球の投球動作や、サーフィンのパドリング、水泳のクロールにおいても良好なパフォーマンスのために胸郭の柔軟性は欠かせません。

このように肩関節疾患やスポーツ障害において、胸郭運動、特に肋骨運動との関連は多いと考えます。今回は、この肋骨の運動制限に対するアプローチとして、3ヶ所のモビライゼーション手技を試しました。

今後は上肢障害に加えて腰椎・骨盤障害においても胸郭との関連性やアプローチ方法についてスタッフ一同理解を深めて行きたいと考えています。

理学療法士 高石

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