メニュー

9/27 院内勉強会「TKAの術後の歩行分析とリハビリテーション」について

[2022.09.27]

こんにちは、藤沢ぶん整形外科の高橋(だいき)です。

当院では、人工膝関節置換術(以後TKA)の術後の方のリハビリテーションを多く対応させていただいています。

今回は、「TKAの術後の歩行分析とリハビリテーション」をテーマに勉強会をさせていただきました。

変形性膝関節症の方の歩行観察から、健常者と比較し矢状面での動きが小さく、前額面での動きが大きいことが示されています。つまり、前後方向の動きが少なく、横方向の動きが大きいということです。加重時の筋活動の評価では、健常者は大臀筋・大腿筋膜張筋が大腿を安定させ内側広筋が下腿の前傾を制動しながら動的安定性を獲得しています。一方、変形性膝関節症の方は、大臀筋の筋活動が低下し大腿筋膜張筋、大腿直筋、内側広筋、大腿二頭筋の菌活動が増大していますこれらのことは、疼痛、関節が緩いことへの代償、膝関節内側コンパートメントへの荷重を減少させる為に、膝を固めて歩く性質があるということを示しています。これらの膝関節機能の変化は、手術をすればすぐに戻るわけではありません。TKA術後のリハビリテーションにおいて、関節可動域改善や筋力改善はもちろんですが、膝関節機能の改善は重要な要素です。

またTKA術後では、早期から痛みに伴う防御性の膝関節周囲筋の筋緊張亢進が多く見られます。さらに膝関節に炎症が生じることで、腫張に伴い反射性筋萎縮が生じ、内側広筋が筋力低下を起こします。このような、膝関節周囲筋がリラックスできていない状態や筋力低下が生じている状態では、正しい歩行はできません。

人工関節には、長期の耐久性が求められますが、人工関節の摩耗やloosening(緩み)の問題があります。これらは、歩行に伴う力学的負荷の積み重ねや偏り、下肢アライメントの不良により起きます。このため歩行時の良好なアライメントの獲得や膝関節機能の再獲得による衝撃吸収能力の改善は、長期予後の改善に必要です。

TKA術後のリハビリテーションの実際

まず、膝関節周辺筋のリラクセーションやストレッチを行い、足がリラックスできる状態を作ります。次に、膝関節の関節可動域と大腿四頭筋の単独収縮を獲得します。その後、歩行時の衝撃吸収に必要な内側広筋と臀筋群の筋力強化を行います。その上で膝関節機能回復を目的に、立脚期のエクササイズとして①運動連鎖を強調したミニスクワット、②閉鎖性運動力学連鎖(CKC)による大腿四頭筋の遠心性収縮訓練、③前額面での運動連鎖エクササイズ、遊脚期のエクササイズとして①座位での下肢振り子運動、②立位での下肢振り出しエクササイズなどを行います。

以上のようにTKA後のリハビリテーションでは、一人一人の歩行状況を把握した上で病態に合った適切な運動療法を選択することが大切です。今回は、この流れを再確認し、膝機能回復のためのエクササイズを試しました。

これからも、治せる理学療法士になるべく、学び続けます。よろしくお願いします。

理学療法士 高橋(だいき)

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME