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10/25 院内勉強会「陸上競技のスプリント動作のリハビリテーション」について

[2024.10.25]

こんにちは。理学療法士の尾又です。今回は「陸上競技のスプリント動作のリハビリテーション」について勉強会を実施しました。

陸上競技のスプリント動作は、①加速局面、②中間疾走局面、③減速局面の3つに分けられます。

加速局面とは、スタートから疾走速度が最高速度に至るまでのこと。

中間疾走局面とは、加速局面を終えて、最高疾走速度が出現するまでのこと。

減速局面とは、最高疾走速度を迎え、速度を維持できずに減速してくるところからゴールまでのこと。

加速局面では、スタート直後の強い前傾姿勢から徐々に体を起こしていきます。この時に、疾走速度の上昇と上体の起こし方を同調させることが滑らかな加速につながります。一流短距離選手と大学短距離選手の比較では、一流選手の方が前傾が大きく、地面反力の水平成分を多く獲得した(前方へ進む力を多く得られた)と報告があります。

中間疾走・減速局面のポイントは、キック動作時の脚全体のスイング速度です。疾走速度が速い選手ほど、このスイング速度が速いとされています。キック動作時に、膝の伸展が股関節の伸展と同時になってしまうと脚全体のスイング速度が著しく低下し、移動量が減ることがわかっています。このため、キック動作時に膝を伸展させずに股関節の伸展のみを行うのが望ましいです。また、キック動作中の足関節の底背屈の動きは、疾走速度が速い選手ほど少ないことがわかっています。足関節の役割は、地面を蹴って脚のスイング速度を上げるのではなく、股関節伸展によって得られた力をそのまま短い時間で地面に伝達する役割となります。以上のようにキック動作時に膝関節と足関節は固定されていることが望ましく、この固定がより短い接地時間につながていると考えます。

リハビリテーションでは、まず体の状態を評価し、必要な可動域があるのか、筋力があるのか、正しい姿勢が取れるのかなどを確認します。その結果に応じて、柔軟性の低下した筋のストレッチ、筋力低下した部分の筋力トレーニングを行います。さらに、静止状態での安定した姿勢保持が可能な状態を獲得します。

その上で、動きの中での運動トレーニングを行います。加速局面や中間疾走・減速局面時の姿勢獲得のために壁を使った運動、足関節の固定での動作を確認しました。加速局面では手を壁に着き、前傾姿勢を保ちながらの腿上げ動作を行います。この時、頭から足関節まで一直線の状態で行います。中間疾走・加速局面では、加速局面よりも上体を起こし、接地している脚の膝を曲げ、頭から膝まで一直線の状態(膝より下は膝を曲げるため後ろになる)で腿上げを行います。足関節固定の運動トレーニンングでは、ジャンプ動作の接地時に足関節を固定して短い接地時間でジャンプする、アンクルホップを行います。今回の勉強会では、実践に近い運動トレーニングを確認しました。

当院は充実したスポーツ活動を行いたいと願うスポーツ愛好家の応援団です。走る動作での痛みでお困りの方いらっしゃいましたら、ぜひご相談ください。

これからも、皆さんのお役に立てるよう、研鑽を続けたいと思います。よろしくお願いいたします。

理学療法士 尾又

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