9/6 院内勉強会「拘縮肩のリハビリテーションにおける肩甲上神経障害へのアプローチ」について
こんにちは。理学療法士の高橋(大基)です。今回は「拘縮肩のリハビリテーションにおける肩甲上神経障害へのアプローチ」について勉強会を行いました。
神経へのアプローチが必要な理由として、筋肉や痛み、感覚は全て神経に支配されているためです。
姿勢不良や軟部組織の伸長性低下や癒着によって神経の圧迫や牽引があると、その神経支配領域の感覚障害、疼痛や運動障害を引き起こします。
今回注目した肩甲上神経は、頸部から肩甲骨周囲を支配している神経です。具体的には、棘上筋や棘下筋の運動を支配し、肩峰下滑液包、後方関節包の知覚を支配しています。
拘縮肩の場合で、肩の痛みが長期化している場合、関節後方の痛みが強い場合、反対の肩を触る動作で肩関節痛がある場合、肩甲骨が周りの筋肉に痩せがある場合は、肩甲上神経障害が関与している可能性があります。
肩甲上神経障害の評価方法として、①姿勢評価②誘発テスト③エコー評価をおこないます。
①姿勢評価では、肩甲骨の位置異常を確認します。肩甲骨が外転位(外側に広がっている)になっている場合は神経に牽引力が働いている可能性があります。②誘発テストでは、実際には、頸部を健側に回旋した状態で、患側の肩を引き下げ、神経を牽引した際の痛みの誘発を確認します。③エコー評価では、棘下筋下脂肪体の動きを確認し、神経周囲組織の癒着によるの滑走障害や、血管周囲の癒着による血流障害の有無を推測します。
リハビリテーションでは、まず姿勢の調整により神経が牽引・圧迫されにくい状態を目指し、胸を張った姿勢に誘導します。具体的には、肩甲骨を寄せる運動や胸椎を伸展・回旋するストレッチなどを行っています。また、脂肪体の硬さがある場合は、徒手による脂肪体の滑走アプローチ、超音波治療器を使った柔軟性改善、ストレッチ指導を行い改善を図ります。加えて普段から胸を張る意識や、座り姿勢の指導なども行い日常生活の中での改善と、ホームエクササイズの提案により速やかな改善を目指します。
肩の痛みのある方で、肩甲上神経の障害を考える症状がある場合は、ぜひ相談ください。
これからも、皆さんのお役に立てるよう、研鑽を続けたいと思います。よろしくお願いいたします。
理学療法士 高橋