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「80歳、まだ走れる」を読んで

[2026.01.23]

この本は、英国のランニングライター、リチャード・アスクウィズが、マスターズ陸上などに参加する80歳以上のスーパーシニアアスリートについて書いた本です。多くのシニアアスリートにインタビューし、生理学的研究の結果を調べ、本人もマスターズ陸上に挑戦したことまでが書かれていて。とにかく、すごい数のスーパーシニアアスリートがいること、そして、その記録とその生き方が書かれてあり、とても興味深い内容でした。

インタビューを受けたシニアアスリートの中には、日本の仲野洋子さんも含まれています。自分はこの本で中野さんのことを初めて知りましたが、すごい人なのですね。71歳での初マラソンが、ホノルルマラソンで4:44:44の記録。81歳の時の東京マラソン2017での4:11:45は、80歳から84歳の世界記録で、現在も破られていません。現在は90歳になって、昨年12月の青島太平洋マラソンで90-94歳の世界記録を更新したそうです。すごい。ランニングが好きで週4日のランニングの日課を続けているそうです。何かを始めるのに遅いという事は無いこと、続けることの素晴らしさを、生き方で教えてくれる素晴らしい方ですね。

インタビューの部分では、元オリンピック選手もいれば、全く運動習慣のないところからのスタートだった人もいるようにバックグラウンドはさまざまでした。しかし、共通していることは、体を動かすことが好きで、定期的に続けており、それが生き甲斐になっていること、スーパーシニアアスリートの多くが、ポジティブな発言と行動で周囲に良い影響を与えていることが、とても印象的でした。

生理学的分析の結果もまた興味深いものでした。

一般に、歳を重ねるにつれて、筋力、バランス能力は低下し、故障からの回復期間は延びていきます。しかし、スーパーシニアアスリートの分析からは、年齢による衰えが少なく、同年代の一般の人々より高いレベルで維持されているということです。定期的に運動を行っていることが、老化を遠ざけている可能性が示されていました。「私たちが標準的な老化とみなすものの大半は、実は運動不足が原因なのです」という一文には、なるほどと感じる部分がありました。変形性関節症による膝痛で来院される方を診察していて思うのは、骨の変形が強いことによる膝痛よりも、関節周囲の柔軟性低下による膝痛の方が多いことです。そしてそれらの場合、しっかりストレッチをすることで良くなる方がほとんどだということです。歳のせいだから仕方ない、と思っている症状が、適切な運動をすれば改善することは多いと感じています。

この本を読んで、スポーツの素晴らしさと継続による可能性を感じたのでした。

当院にも、ランニングを中心に生き生きとスポーツに取り組むシニアの方々がいらっしゃいます。日々の取り組み、目標とする大会への意気込みを聞いていると、嬉しくなります。自分がどのくらい続けることができるかはわかりませんが、楽しみながら続けていこうと思いました。

待合室の本棚に置いておきます。ぜひ見てみてください。

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